今回頂いた質問

112回の国試で、家族成員についての出題がありました。ただ人数とかを覚えればいいってことじゃないような気がします。
どのようなことを確認しておけばよいでしょうか。

ご質問ありがとうございます。
過去の国家試験の出題傾向から考えると、ご質問者様がおっしゃる通り、ただ人数を覚えれば……ということではなさそうですね。
まずは、フリードマン(M.M. Friedman/家族看護学者)が提唱する「家族の定義」、「世帯(世帯員)との違い」、さらには近年の社会状況の変化に伴う「家族形態の変化」についても、しっかりと理解しておくことが重要です。
ここでは、これらのテーマについて解説しますので、これを機に学習を深めてみましょう。

1.家族の定義

家族の定義についての考え方は、文化や社会によって異なる場合がありますが、一般的には「血縁や婚姻関係によって結ばれた人々の集まり」をさします。つまり、親子、兄弟姉妹、夫婦などが家族に含まれます。

家族の定義については法律で定められていませんが、家族看護学者のフリードマンは以下のように提唱しています。

絆を共有し、情緒的な親密さによって互いに結びついた、しかも、家族であると自覚している、2人以上の成員である。

2.家族と世帯との違い

家族の定義にはさまざまな考え方があるため、法律や統計では「世帯」という概念が用いられます。世帯は「住居及び生計を共にする者の集まり又は独立して住居を維持し、若しくは独立して生計を営む単身者」をさし、つまり「住居と生計を共にする集まりの単位」です。

なお、世帯を構成する人のことを世帯員といいます。家族や単身者だけでなく、ルームメイトや同居人などのような非血縁関係の人々を含む場合もあります。ただし、以下の者は世帯員に含まれません。

・社会福祉施設に入居している者
・単身赴任中の者(出稼ぎや長期海外出張者も含まれます)
・遊学中の者(国内外を問わず、故郷を離れてほかの土地や国で学問している者)
・別居中の者
・預けた里子
・収監中の者

3.家族形態の変化

現在のわが国の家族形態は、未婚率の上昇や晩婚化によって少子化が進み、1世帯あたりの平均世帯人員は減少傾向(2.37人)にあります。また、高齢化に伴い、65歳以上の者のいる世帯は全体の49.7%を占め、高齢者世帯が増加しています。

 

以上が質問の回答です。
では、「家族」に関する国家試験の過去の問題を解いてみましょう。

問題

第112回看護師国家試験 午後問題9

家族成員の最少人数はどれか。

1. 4人
2. 3人
3. 2人
4. 1人

1.× 2.× 3.○ 4.○
家族看護学者のフリードマンは、家族の定義について「絆を共有し、情緒的な親密さによって互いに結びついた、しかも、家族であると自覚している、2人以上の成員である。」と提唱している。
正解…3

●「基礎看護学」について理解を深めるには、科目別強化トレーニング

編集部より

近年の社会状況の変化、つまり未婚率の上昇や少子化などに伴い、看護師国家試験でも家族や世帯に関する問題が頻出しています。この機会にしっかりと基礎知識を身につけ、対象者だけでなく家族を含めた看護にも対応できるよう準備しましょう。