今回頂いた質問
不整脈について教えてください。特にショートランについて分かりません。また、VTとSOLOW VTの違いについても教えてください。
ご質問ありがとうございます。まずは心臓の刺激伝導系について説明します。
心臓の刺激伝導系
刺激伝導系は、右心房上部にある洞房結節(または単に洞結節)から始まり、房室結節、ヒス束へと伝わります。ヒス束は右脚と左脚に分かれ、さらにプルキンエ線維という樹枝状の心筋まで刺激が伝わり、心室を興奮収縮させます。
●刺激伝導系
心室期外収縮は洞房結節の興奮よりも先に心室の異常興奮が起こります。つまり、心房よりも心室のほうが早く興奮します。
●心室期外収縮
ショートランあるいは心室頻拍(VT)は危険信号!
心室期外収縮が3連発以上続く場合をショートラン、あるいは心室頻拍(VT)と呼びます。ショートランは心室細動(VF)に移行する可能性があり、注意が必要となります。心室頻拍(VT)には心拍数が100回/分前後の比較的安全なもの(Slow VT)もあります。
心室細動(VF)は早急に治療しなければ生死にかかわります。心室細動(VF)を見つけた場合には、患者のもとに駆けつけると同時に、人員を確保し、医師へ連絡や救急カート、除細動器の準備を依頼することが必要です。
回答は以上になります。
では、国家試験の問題を実際に解いてみましょう。
問題
第104回看護師国家試験 午前問題12
最も緊急性の高い不整脈はどれか。
1. 心房細動
2. 心室細動
3. I度房室ブロック
4. 完全右脚ブロック
2. ○ 血液拍出ができなくなる状態のため、直ちに治療が必要である。
3. × 洞房結節からの電気信号が心房までは伝わるが心室まで十分に伝わらない状態である。1度では心室にも電気信号が伝わっており、無症状のことも多い。
4. × 右心室を収縮させる役割を果たす右脚の機能が低下している状態である。左心室から右心室に心臓の収縮が伝わるため、心臓の機能は保たれ、自覚症状がない場合も多い。
正解…2
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編集部より
不整脈といっても、すぐに入院! 薬! というものばかりではなく、器質性心疾患を伴わない特発性心室性期外収縮などは健常な成人に案外多いのだと聞きます。わたしのまわりにも「毎回検査でひっかかりますけど、特に異常はないと言われます」という人がいます。自分の心臓の音を聞きながら心電図を思い描くのが趣味という人もいるとかいないとか。。。国試頻出事項なので、しっかりと習得したいものですね。基礎学習として、国立循環器病研究センターのサイト「不整脈といわれたら」には、不整脈について分かりやすい説明が載っていますので、参考にしてみてくださいね。