今回頂いた質問

体温調節のしくみがよくわかりません。体温が上昇または低下すると、身体にどのような変化が起こるのでしょうか。

ご質問ありがとうございます。
ここでは、体温調節のしくみについてわかりやすく解説します。

体温の調節機能は、間脳の視床下部にあります。視床下部には「体温調節中枢」があり、体温を調節する司令塔のような役割を果たします。

体温調節中枢には、体温を一定に保つ働きがあります。こうして設定された体温を「セットポイント」といいます。通常、私たちの体温は37℃前後(体内酵素が活性化する温度)に保たれています。

ところが、何らかの病的な原因(細菌やウイルスへの感染、炎症など)によって、セットポイントが通常よりも高く設定されることがあります。たとえば、セットポイントが37℃から39℃に変更されたとしましょう。セットポイントが上昇したことによって、私たちの身体は体温を39℃に保とうとします。

そこで、下記のような変化によって、私たちの身体は体温を上げようとします。
 ・血管の収縮によって血流を減少させ、体内の熱が外に逃げないようにする
 ・骨格筋の収縮によってふるえを起こし、熱を産生する

やがて、発熱の原因が取り除かれると、セットポイントは元の位置(37℃前後)に戻ります。このとき、私たちの身体は(発熱によって)セットポイントよりも高い体温を維持しています。

そこで、下記のような変化によって、私たちの身体は体温を下げようとします。
 ・血管の弛緩によって血流を促し、体内の熱を外に逃がす
 ・汗腺の活発化によって汗を流し、体内の熱を外に逃がす
 ・骨格筋の弛緩によって、熱の産生を抑える

体温が上昇する際には、ふるえによる寒気を感じることがあります。身体を冷やさないよう、衣類や温かい飲み物で身体をあたためるようにしましょう。また、体温上昇のピークを過ぎた後は、放熱のため汗をかきやすくなります。衣類や寝具を調節したり、汗をかいた衣類を取り替えたりするなど、患者さんが快適に療養できるような環境を整えましょう。

では、第100回の国家試験で出題された問題を解いてみましょう。

問題

第100回 看護師国家試験 午前問題26

体温の調節機構で正しいのはどれか。

1. 体温の調節中枢は脳幹にある。
2. 体温が上昇すると、骨格筋は収縮する。
3. 体温が上昇すると、汗腺は活性化される。
4. 体温が低下すると、皮膚の血流は増加する。

1.× 体温の調節中枢は、間脳の視床下部にあります。
2.× 体温が上昇すると、骨格筋は弛緩し熱の産生を抑えます。
3.○ 体温が上昇すると、汗腺は活性化されます。
    汗をかくことによって、体内の熱を外に逃がそうとします。
4.× 体温が低下すると、血管の収縮により皮膚の血流は減少し、皮膚表面の熱を低く保つことで体内の熱を外に逃がさないようにします。

答え…3

編集部より

冬、職業柄、座ったままの姿勢で過ごすことの多い編集部員は、足の冷え対策に「足湯たんぽ」を購入!(ブーツ型ではなく置くタイプ)。冷えた足をカバーがすっぽり覆ってくれるので、仕事をしながら足湯気分が楽しめます♪ 頭寒足熱で作業能率も上がったような気もしますよ。