膀胱の壁は伸びたり縮んだりして尿意をコントロールしている
ヒトはどのくらいトイレを我慢できるものなのでしょうか
いったんトイレに行きたくなっても、しばらく我慢していると尿意がおさまることがあります。それは膀胱壁の「移行上皮(いこうじょうひ)」に秘密があります。移行上皮は引っぱると、薄くなり大きく広がるという特殊な性質をもっています。
膀胱にある程度尿がたまると移行上皮が伸び、ヒトは尿意を感じます。まず、ここまでで移行上皮は普通のお役目を果たします。そして、ヒトがオシッコを我慢したいと思った時、ヤツはもう一度ある働きをするのです。
ふだん膀胱壁はあんがい分厚く1.5センチくらい。膀胱の容量は人によって違いますが、約500ml(状況によってはなんと1リットルまで!)ためることができ、4/5くらいまでたまると内圧で膀胱壁が伸び、大脳に信号が送られ、尿意を感じて排尿にいたります*。
けれど、そこは変形自在の移行上皮。
ねばり腰で最大3ミリくらいにまで薄くなり、その分内圧が下がれば、尿意がおさまるというわけです。逆に緊張するとトイレに行きたくなるのは、心理的な影響で移行上皮が収縮し、少ない尿でも内圧が上がってしまうから。ヤツの伸び加減ひとつで、われわれの尿意はコントロールされているのです……。
さて、就職面接や会議、そして得意先のお客の話がなかなか終わらない時などに、尿意をもよおした場合、いったいどうすればよいのでしょうか……。
多少まゆつばな話も混ざりますがご紹介しましょう。
★尿意を感じたとしても、まだ膀胱には余裕があるはずなので、膀胱壁の「移行上皮」に伸びろー、伸びろーと念じる(構造上、あながち嘘ではない。要練習……)
☆『ディエンチャン』なるベトナムの民間ツボ押し療法。「アゴの中央」に「尿量を減らすツボ」があるというので、考えているふりなどして、指やこぶしでさりげなく押す(要練習……)。
★ふだんから骨盤底筋運動などで、最終的に排尿するしないを左右する筋肉「外尿道括約筋」を鍛えておく。布団の中などに横たわった状態で、外尿道括約筋に5~10秒くらい力を入れてはゆるめるを10~30回。
★足を肩幅より開き、上半身まっすぐでガニ股スクワット。15~20回程度で尿意がひっこむ(こうして少しずつ尿を我慢し、大脳に尿意を知らせる容量を増やしていく)。
「骨盤底筋運動」や尿意を我慢する「膀胱訓練」は、尿失禁治療の方法として一般的です。あながち「膀胱の移行上皮、伸びろー」を念じるのも間違いではないですね。
けれど、我慢のしすぎは体に悪いので、ほどほどにしてください。
「おトイレ行きたいです」と勇気を持って言いましょう!
病気が原因のこともありますので、日常生活に支障を来す場合はお医者さんに行ってみるのもよいかと思われます。