今回頂いた質問

112回の国試で、帯状疱疹についての出題がありました。最近、帯状疱疹のワクチンも推奨されているそうですね。
帯状疱疹について詳しく教えてください。

ご質問ありがとうございます。

1.帯状疱疹とは?

帯状疱疹は、その名の通り、発疹が帯状に出現する疾患です。原因は水痘・帯状疱疹ウイルスです。このウイルスは、子どもの頃に水痘として感染し、発疹が治った後も死滅せず、脊髄神経節(脊髄神経の中の、感覚神経が集まっているところ)に潜伏するという特徴があります。

2.帯状疱疹の発症原因

病気やストレス、疲労、加齢などで免疫が低下したときに、ウイルスの活動が活発化し、今度は水痘ではなく帯状疱疹として発症します。発疹は、感覚神経の走行に沿って帯状に出現します。このときウイルスによって感覚神経が傷つけられるため、神経痛のようなピリピリ、チリチリといった痛みを伴います。この痛みは、発疹が治った後も、長期間にわたって持続する特徴があります。

3.帯状疱疹の発生部位や合併症

発疹の部位で最も多いのは、胸髄領域の胸部や背部です。次に多いのが三叉神経領域です。三叉神経は第Ⅴ脳神経で、三枝に分かれて顔面の知覚をつかさどっています。このうち、第一枝(鼻~眼~前額部の知覚をつかさどる)に沿って発疹が出現すると、頭痛や眼痛、さまざまな眼の炎症(角膜炎、結膜炎、視神経炎など)を合併し、最悪の場合、失明することもあります。

4.帯状疱疹の治療方法

治療には、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬が用いられます。内服や塗布、点滴などによって投与します。現在は、発症そのものを予防する目的で、50歳以上の方を対象としたワクチン接種が推奨されています。

 

以上が質問の回答です。
では、「帯状疱疹」に関する国家試験の過去の問題を解いてみましょう。

問題

第112回看護師国家試験 午後問題30

帯状疱疹について正しいのはどれか。

1. 運動神経麻痺は生じない。
2. 感染の既往として水痘がある。
3. ウイルスは発症後1か月で消滅する。
4. 単純ヘルペスウイルスの感染が原因である。

1.× 水痘・帯状疱疹ウイルスによる炎症は、感覚神経だけでなく運動神経にも及び、その結果、運動麻痺が起こることがあります。最も頻度が高いのは、顔面神経の炎症で、顔面の発疹とともに顔面神経麻痺(顔面の片側の表情筋が麻痺する)が出現します。
2.○ 3.× 4.×
水痘・帯状疱疹ウイルスは、最初は水痘として感染し、発疹が治ったあとも死滅せず、神経節に潜伏しています。宿主の免疫力が低下するとウイルスが活性化し、帯状疱疹として発症します。
正解…2

●「疾病の成り立ちと回復の促進」について理解を深めるには、科目別強化トレーニング

編集部より

ウイルスには、水痘・帯状疱疹ウイルスのように、体内に潜伏し続けるものや、C型肝炎ウイルスのように持続感染するものなどがあります。ウイルスが体内に居続けるためには、白血球による免疫機構を避け続ける必要があり、そのメカニズムも少しずつ明らかになっています。