今回頂いた質問

毎年夏になると“プール熱が流行”ってニュースで聞くけど、プールから感染する病気なんですか?

ご質問ありがとうございます。
たしかに毎年夏になると“プール熱”ってよく耳にしますね。プール熱は別名、咽頭結膜熱といい、アデノウイルスによる感染症です。従来はプールの水を介して感染することが多かったため“プール熱”とよばれていましたが、近ごろは残留塩素濃度の基準を満たした水なのでプールの水から感染することはほとんどありません。現在は、咳やくしゃみなどによって感染する飛沫感染と、タオルの共用や手指を介した接触感染によって感染します。アデノウイルスは50種類以上の型があり、プール熱(咽頭結膜熱)は主に3型の感染で発症します。症状は、高熱・頭痛・食欲不振・全身倦怠感とともに、咽頭炎による咽頭痛、結膜炎に伴う結膜充血・眼痛・羞明・流涙・眼脂などを訴え、3~5日間程度持続し、眼症状は一般的に片方から始まりその後、もう片方にも出現します。このウイルスは特に季節特異性がなく、年間を通じて感染が報告されていますが、疾患としての咽頭結膜熱は例年夏期に地域全体で流行し、6月から徐々に増加しはじめ、7~8月にピークを迎えています。しかし、2003年ごろから冬季にも流行の山がみられるようになっており、季節を問わず警戒が必要なウイルスです。特に、小児の感染が多く、季節性の流行の場合は5歳以下が約6割を占めています

●アデノウイルスの型と病名

 

その他、夏に注意が必要な感染症

一緒に覚えておきましょう!

以上が質問の回答です。
では、では、「アデノウイルス」に関する国試の過去問を実際に解いてみましょう。

問題

第105回看護師国家試験 午後問題70

流行性角結膜炎の原因はどれか。

1. 淋 菌
2. 緑膿菌
3. クラミジア
4. アデノウイルス
5. ヘルペスウイルス

いずれも眼に感染症を生じる微生物ではあります。
1. × 淋菌は性感染症の原因菌で、結膜炎を生じます。
2. × 緑膿菌は感染性の角膜炎や角膜潰瘍の原因菌です。
3. × クラミジアは性感染症やトラコーマの原因菌で、結膜炎を生じます。
4. ○ アデノウイルスは流行性角結膜炎の原因ウイルスであり、感染力が強く、学校保健安全法上の学校感染症のひとつです。罹患した場合、周囲への感染のおそれがなくなるまで、学校(幼稚園を含む)への出席は停止となります。
5.× ヘルペスウイルスは角膜炎の原因となるウイルスです。

正解…4

●「成人看護学」の理解を深めるには
科目別強化トレーニング「成人看護学」

編集部より

夏は暑さのせいで食欲が無くなったり、つい冷えた室内にこもってしまったりして免疫力や体力が落ちてしまうことが多いですよね。そんな時ほど、夏風邪や感染症にかかりやすくなってしまいます! こんな気候だからこそ、バランスよく栄養の摂れる食事をして、適度に身体を動かし、この夏を乗り切りましょう!