今回頂いた質問

線維軟骨結合とはなんですか?

ご質問ありがとうございます。

軟骨と聞くとヤゲン軟骨の塩焼きや軟骨のから揚げやビールが飲みたくなってきますが、トリではなくて、ヒトの骨と骨とのつなぎ目(関節)について説明します。「関節」ときいてイメージしやすいのは、腕や足の関節ですね。
 

1.関節の分類

関節には、ふたつの分類方法があります。
関節機能(可動域)による分類:可動性の有無によって分けられます。
構造による分類:関節部位の骨を結合している物質によって3つに分けられます。
今回はこの後者の分類を基に説明をします。
 

2.構造による分類

関節部位の骨を結合している物質によって
(1)滑膜関節
(2)線維性関節
(3)軟骨性関節
の3つに分けられます。
 

(1)滑膜関節

特徴は、2つの結合した骨の間にある関節包です。6つの種類があります。
・滑走(かっそう)関節:手首や足首の骨など
・蝶番(ちょうつがい)関節:肘関節と指関節など
・車軸(しゃじく)関節:環椎・軸椎など
・顆状(かじょう)関節:橈骨と手根骨の間の手首など
・鞍(あん)関節:親指の関節など
・球(きゅう)関節:股関節・肩関節など
 

(2)線維性関節

骨と骨の間が厚い結合組織でつながっています。大部分の線維性関節は動かすことができません(靭帯結合を除く)。
3つの種類があります。
・縫合線:頭蓋の骨を結合する動かない関節
・釘状関節:歯と下顎骨・上顎骨との間
・靱帯結合:脛骨と腓骨との間の遠位関節など(靱帯が結合している関節で、少しだけ動かすことができます)
 

(3)軟骨性関節

骨と軟骨が一体となった関節です。2つの種類があります。
・軟骨結合:不動関節です。第1対肋骨と胸骨との間の関節など
線維軟骨結合:2つの骨と、その間を結合する弾力性のある線維軟骨のクッションのような組織で構成されており、特定の動作をすることが可能です。椎間板でつながっている脊柱(背骨)、恥骨の寛骨(小児期のみ。成人では骨結合)など

 

3.腰部脊柱管狭窄症について

整形外科で患者数が多い「腰部脊柱管狭窄症」は、線維性軟骨でできている椎間板の変形が原因となる疾患なので、ここでおさえておきましょう。

脊柱はこの上図のように頸椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎で構成されています。頸椎、胸椎、腰椎はそれぞれ複数の椎骨からなり、仙椎、尾椎は1つの椎骨からなっています。この椎骨と椎骨をつなぐクッションのような組織が椎間板です。「腰部脊柱管狭窄症」では、加齢などにより変形した椎間板や背骨が神経を圧迫し、下肢に麻痺を起こします。
治療としては、安静目的でコルセットを使用し、荷重の負荷軽減や下肢の麻痺軽減を目的とした薬物治療、手術を行うこともあります。なお、椎間板ヘルニアでも同じような症状が生じます。
 

以上が質問の回答です。
では、「線維軟骨結合」に関する国家試験の過去の問題を解いてみましょう。

問題

第109回看護師国家試験 午後問題26

成人の骨格で線維軟骨結合があるのはどれか。

1. 頭蓋冠
2. 脊 柱
3. 寛 骨
4. 仙 骨

1.× 「とうがいかん」と読みます。頭蓋の骨を結合する関節は縫合線での結合で動きません。
2.○ 「せきちゅう」と読みます。椎間板が線維軟骨結合になります。
3.× 「かんこつ」と読みます。小児期は線維軟骨結合ですが、成人では骨性結合(骨同士が癒合したもの)になります。
4.× 「せんこつ」と読みます。骨性結合になります。
正解…2

●人体の構造と機能ついて理解を深めるには、科目別強化トレーニング「人体の構造と機能」

編集部より

骨は体を支え、内臓を保護する役割をもっています。骨折すると歩行や動作が困難になり、著しくADLが低下します。また、交通事故などの外傷性の骨折は、肺挫傷による気胸の発症などにもつながります。国家試験では図や画像を交えた問題も出題されます。骨折によってどのような影響が体内に生じるのかを把握することも大切です。救急科や整形外科を目指す看護学生さんは、特に骨や関連する疾患をしっかり学習しておきましょう。