今回頂いた質問
「新出題基準にも追加された“ワーク・ライフ・バランス”と言う言葉を最近就職セミナーや病院説明会でもよく耳にするのですが、具体的にはどんな働き方があるのでしょうか?」
ご質問ありがとうございます。
“ワーク・ライフ・バランス”ってたしかに最近よく耳にしますね。
では、具体的にどのような働き方なのかご紹介します。
ワーク・ライフ・バランスとは?
1980年代にアメリカで生まれた考え方と言われています。当時、女性が社会で活躍することが増え、優秀な女性たちが子育てをしながら仕事を続けられるように、様々な提案がされ、それらが「ワーク・ライフ・バランス」の考え方につながっていきました。日本では平成19(2007)年12月に、「ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議」において、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が策定されました。
一般企業の労働だけではなく、もちろん医療現場も含む日本の労働環境全体で重要視されています。
看護職では、高齢化に伴う患者数の増大、慢性的な人手不足、離職率の上昇……など多くの問題を抱えています。また、やはり看護師は女性の比率が多く、結婚・出産後に続けにくいイメージもあります。
そこで近年取り入れられているのが『多様な勤務形態』です。
たとえば以下のような働き方があります。
フルタイムよりも短い時間の働き方。午前10時に出勤→午後16時に退社など、子どもがいるママ看護師さんでも家事と両立しながら働けます。
*ワークシェアリング
ひとりひとりの労働時間を短く、多くの人材で仕事の総量を分け合おうという働き方。しかし、この体制を導入できている現場は少ないのが現状です。
*フレックスタイム
1か月の総労働時間を定め、その枠内で各自の始業・就業を決められる働き方。自分の都合によって出退勤時間を決められます。しかし、こちらも導入できている現場は少ないです。
*交代制(2交代・3交代)
こちらは多くの病院で取り入れている、看護師さんの勤務体制です。
2交代の場合は、日勤8時間・夜勤16時間の勤務が多く、日勤→そのまま夜勤→夜勤明け→翌日休みというパターンが多いです。比較的、休日の回数が多いのですが、1回の夜勤の拘束時間が長めです。
3交代の場合は、日勤、準夜勤、夜勤の3つの勤務に分かれ、各勤務8時間で交代することが多いです。2交代と比べ、拘束時間が短くなっています。
『公益社団法人 日本看護協会』でも、看護の現場でワーク・ライフ・バランスを取り入れられるように推進しています。
日本看護協会では、看護師個人の尊厳を守り、働き方を見直すためだけではなく、『看護職の健康と安全が、患者の健康と安全を守る』という考え方の元、看護師の働き方の見直しを呼びかけています。『看護職のワーク・ライフ・バランスの推進ガイドブック』の中では、現状の問題提議や、「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」の紹介、組織の体制づくり、実現化するための施策、相談窓口の紹介などが載っています。
<公益社団法人 日本看護学協会HP内>
・看護職のワーク・ライフ・バランスとは
・看護職のワーク・ライフ・バランスの推進ガイドブック(PDFデータ)
こちらもぜひご参照ください!
以上が回答です。
では、関連する国試の過去問を実際に解いてみましょう。
問題
第107回 看護師国家試験 午後問題4
仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章が策定された年はどれか。
1. 1947年
2. 1967年
3. 1987年
4. 2007年
2.× この年は雇用対策基本計画(第1次)が発表された年です。
3.× この年は「障害者の雇用の促進等に関する法律」が制定された年です。
4.○ この年に「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が、関係閣僚、経済界・労働界・地方公共団体の代表者等からなる「仕事と生活の調和推進官民トップ会議」において策定されました。
正解…4
●「基礎看護学」の理解を深めるには
科目別強化トレーニング「基礎看護学」
●「必修問題」で着実に得点するには
必修問題対策トレーニング
編集部より
最近は、様々な働き方があり、看護師さんたちの心身の健康維持や、家族やプライベートを大切にできるようにするため、今回紹介したような新しい勤務体制や、長期休暇・手厚い産休や育休を取り入れている現場はどんどん増えています!
皆さんも、説明会や募集要項では勤務形態もよく見てみて下さい!