今回は、「健康支援と社会保障制度」についてです。

「ザ・暗記科目!」というイメージなので、この時期から集中的に取り組んでいる人は少ないのかもしれません。もちろんそれで構わないのですが、「健康支援と社会保障制度」独自科目としての出題だけでなく、各論科目からも社会保障制度の知識がないと解けない出題も多くあり、国試300点満点中50数点は社会保障制度関連の問題である、という現実も知っておいてほしいと思います。

では、どのように攻略していけばよいでしょうか?

 

健康支援と社会保障制度の攻略ポイントは?

健康支援と社会保障制度の攻略ポイントは、これだ!

1)問題数は依然多い。十分な対策を。
2)過去問を通じて基本事項を押さえよう!
3)過去の出題がなくても、出題基準にあるものを確認しておこう。

 

1)問題数は依然多い。十分な対策を について

上記で説明した通り、必修問題においても一般問題においても、社会保障制度関連の問題の点数配点が多い状態が持続しています。定番の医療保険、介護保険、保助看法、医療法などは、毎年出題されるからこそ、さまざまな角度から問われます。
暗記すべき点も多いので、国試が近づいた1月くらいからまとめて覚えていくのが効率的です。その際、社会保障制度についてまとまっている対策本には要点がまとめて書いてありますが、頻出の条文などについては、先日お伝えした通り、原文にあたっておくことを忘れずに

また、「1月からで間に合うの?」と不安を感じる方もいらっしゃると思います。そういった方は、受験した模擬試験の社保関連の問題を、正解・不正解に限らず解答解説書を使って復習していきましょう。問題で問われた内容のみならず、関連知識も含めて理解することもできるでしょう。

2)過去問を通じて基本事項を押さえよう! について

まずは、過去問を見てみましょう。

第112回AM31
社会保障制度と根拠法令の組合せで正しいのはどれか。
1. 医療保険 ―――― 健康保険法
2. 介護保険 ―――― 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律〈高齢者虐待防止法〉
3. 雇用保険 ―――― 社会福祉法
4. 年金保険 ―――― 生活困窮者自立支援法 
答え:1

この問題は102回午前33で出題された問題を改変したものです。
まず、日本の社会保険は5つあります。(1)「医療保険」(2)「介護保険」(3)「年金保険」(4)「雇用保険」(5)「労働者災害補償保険」です。

次に、選択肢をそれぞれみていきましょう。
1.○ 医療保険は、大きな分類で3種類存在します。「被用者保険」といわれる健康保険、共済組合、船員保険。「地域保険」といわれる国民健康保険。そして後期高齢者医療制度です。選択肢は医療保険の根拠法が健康保険法となっているため、これが正解となります。
2.× 介護保険の根拠法は、その名のとおり介護保険法です。
3.× 雇用保険の根拠法も、名前のとおり雇用保険法です。
4.× 年金保険は、国民全てが加入する「国民年金」と被用者が加入する「厚生年金」があります。根拠法もそれぞれ「国民年金法」、「厚生年金法」となります。
なお、出題されなかった「労働者災害補償保険」の根拠法は労働者災害補償保険法となっています。

 

3)過去の出題がなくても、出題基準にあるものを確認しておこう。 について

社会保障制度については、1)でも説明した通り毎年必ず出題される定番テーマ、2~3年に一度出る頻出テーマもありますが、過去に出題がなくても、出題基準に記載があるものは目を通しておいた方が安心でしょう。
特に、昨年出題基準が改定され、その際に新たに追加された事項は要チェックです。改定された年の第111回でも、新たに追加されたキーワードから問題が出題されていました。

第111回 AM33 
労働衛生の「3管理」とは、作業環境管理と作業管理と(    )である。
(    )に入るのはどれか。
1. 健康管理
2. 総括管理
3. 労務管理
4.出退勤管理
答え:1

新しい出題基準では目標Ⅲ―10―Bに「労働衛生3管理(作業管理、作業環境管理、健康管理)」と掲載されており、それがそのままが出題されました。このキーワードは第111回で初めて出題されたものです。

「労働衛生」とは、労働者の健康を維持するために職場の環境や条件を改善していくことをさします。この労働衛生は「労働安全衛生法」で規定されています。そして、労働衛生の3管理とは、作業環境管理、作業管理及び健康管理の3つをさします。
作業環境管理とは、作業環境中の有害因子の状態を把握して、できるかぎり良好な状態で管理していくことです。作業環境中の有害因子の状態を把握するには、作業環境測定が行われます。
作業管理とは、環境を汚染させないような作業方法や、有害要因のばく露や作業負荷を軽減するような作業方法を定めて、それを適切に実施させるように管理することをさします。また、改善が行われるまでの間の一時的な措置として保護具を使用させることなども含まれます。
健康管理とは、労働者個人個人の健康の状態を健康診断により直接チェックし、健康の異常を早期に発見したり、その進行や増悪を防止したり、さらには、元の健康状態に回復するための医学的及び労務管理的な措置をすることです。最近では、労働者の高齢化に伴って健康を保持増進して労働適応能力を向上することまでを含めた健康管理も要求されるようになってきています。

 
今回のポイントふまえた過去問を、コチラにまとめています。ぜひご利用ください。
次回は、基礎看護学について説明します!