withコロナの時代が続きましたが、そろそろ落ち着きを取り戻しつつありますね。昨年度の第112回看護師国家試験は、過去2年と同様に感染対策をとりつつ通常通り行われ、感染した受験生のための追試や救済措置もありませんでした。第113回の時には、そういったことを気にせずに受験できる世の中になっているといいですね。
この「医教の国試対策勉強法」では、第113回国家試験まで、みなさんの国試対策のヒントになるようなお話をしていきたいと思います。
さて、「国試対策って、何から手を付けたらいいんだろう?」と思う方もいらっしゃると思います。まずは「国家試験を知る」ことから始めましょう!
1.国家試験の合格基準
そもそも国家試験で何点とれば合格かご存知ですか?
以下の表をご覧ください。
問題種別 | 出題数 | 配点 | 合計点 | 評価基準 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
基準 | 第110回 | 第111回 | 第112回 | ||||
(1)必修問題 | 50問 | 1点 | 50点 | 8割以上の 正答 (絶対基準) | 40点以上 /50点 | 40点以上 /50点 | 40点以上 /50点 |
(2)一般問題 状況設定問題 | 130問 | 1点 | 250点 | 一定以上の 点数 (相対基準) | 159点以上 /250点 | 167点以上 /250点 | 152点以上 /249点 |
60問 | 2点 |
問題数は全240問で合計300点満点の試験です。ポイントは(1)の「必修問題」です。50問中40問以上正答しないと、一般・状況設定問題でいくら得点しても、合格できないという絶対基準で評価されます。(2)の一般・状況設定問題の合格ラインは、毎年変動します。(1)(2)両方の評価基準を満たした場合のみ、合格となります。満点を取る必要はありません。相対基準の合格ラインを超えることが大切なのです。とはいえ、その合格ラインは毎年異なり、ご覧のとおり第111回(2021年度)と第112回(2022年度)では15点もの差があります。第111回のような場合を想定し、170点くらいを目標とすると、安心ですよ。
2.看護師国家試験の変化
第112回の難易度は?
2023年2月に実施された112回は、受験学生さんからは「難しかった」という声が多かったように感じます。ここ数年のデータを見ると、やや難しかったかとは思いますが、難易度が一気に上がった、などということはありません。過去10年をさかのぼってみて言えることは、問題自体の難易度に大幅な変化はなく、また、コロナの影響で難易度や出題傾向が大幅に変わることはなかった、ということです。
五肢問題・一般問題の長文設問に要注意!
問題の難易度を左右する1つのポイントとして、五肢問題の出題数が挙げられます。五肢問題の出題数は流動的です。前々回の第110回では計43問(約18%)、前回の第111回では計35問(約15%)、今回の第112回では計41問(約17%)となっています。全問題の15~20%前後は五肢問題と思っておくとよいでしょう。
五肢問題の中でも、五肢択二問題には注意が必要です。なぜなら、選択した答えの2つとも正答しないと加点されないからです。そのため、「なんとなく覚えている」では、攻略できない問題も……。五肢問題は、重要なポイントについて出題されますから、取りこぼしのないようにしていきましょう。
また、106回頃から、一般問題でも検査データや病状経過などが示され、状況設定並みの設問がある問題が出題されています。検査データや病状経過があるということは、アセスメントが必要ですし、出題意図を読み解くのにも、一定の時間が必要になります。こういった問題は、読解が得意でない学生にとっては、状況設定問題同様に、手ごわいタイプの問題といえるでしょう。
個々の問題においては、やみくもに過去問を解くだけでは対応できない問題も増えています。それは、今の日本の医療は社会問題と直結していて、国家試験においても社会背景や社会問題が反映されているからです。超高齢社会、生産年齢人口の減少、核家族化、少子化、在宅医療、家族のケアなどはいずれも頻出のテーマです。
医療・看護の知識に関しては、すべての根幹である解剖生理学を理解したうえで、病理・病態を理解し、各期に合わせた治療・看護を選択するという、実践的な知識が求められています。これらを習得するためには、座学で学ぶ内容への深い理解はもちろん、臨地実習での体験を、いかに座学で学んだ知識とリンクさせていくかがポイントになります。
出題基準の改定
なお、国家試験の出題範囲である「出題基準」が、昨年度改定されました。改定自体は4~5年に一度、定期的に行われています。今回の令和5年版が前回の平成30年版から大幅に変わった点は、「在宅看護論」の部分と言えるでしょう。名称も「在宅看護論/地域・在宅看護論」となり、在宅に関連する問題も例年よりも多かったです。とはいっても、大部分には大きな変更はありません。新しい傾向を知っておく必要はありますが、まずは基本的な部分をしっかり押さえておくことのほうが、国試対策としてより優先度が高いのです。
次回から、113回に向けた国試出題科目ごとの攻略法を連載していきます。みなさんの国試合格に向けた勉強方法の参考になれば、幸いです!
ぜひ、ご覧ください!
「国試にはどんな問題が出るんだろう?」と気になったあなたには、こちらがオススメ!
第113回看護師国家試験対策模擬試験 基礎問題編