今回は、「疾病の成り立ちと回復の促進」についてです。こちらも、苦手科目として挙げる人が多いイメージですね。

ここ数年の「疾病の成り立ちと回復の促進」は、解きやすい問題が多くなっています。その要因として受験生が苦手とする画像診断や検査に関する設問が少なかったことが挙げられます。とはいえ、他の科目と比べると正答率は低い科目ですので、過去10年分くらいの「疾病の成り立ちと回復の促進」の問題に挑戦し、画像診断や検査などの問題にも対応できるようにしておきたいですね(過去問の使い方は、こちらでチェック)。


 

疾病の成り立ちと回復の促進の攻略ポイントは?

上記を踏まえた上で、疾病の成り立ちと回復の促進の攻略ポイントは、これだ!

いわゆるマイナー疾患が頻出。過去に出題されたものは必ず確認を!

 

いわゆるマイナー疾患が頻出。過去に出題されたものは必ず確認を! について

実習で担当した疾患は、しっかり調べ詳しくなっていることと思います。でも、「疾病の成り立ちと回復の促進」では、メジャーなものではなくて、マイナー疾患がよく出題されるのです。
具体例を見てみましょう。

第110回 AM 77 
褐色細胞腫でみられるのはどれか。
1. 高血糖
2. 中心性肥満
3. 満月様顔貌
4. 血清カリウム濃度の低下
5. 副腎皮質ホルモンの産生の亢進
答え:1
第110回 AM 78
Guillain-Barré〈ギラン・バレー〉症候群で正しいのはどれか。
1. 若年者に多い。
2. 遺伝性疾患である。
3. 骨格筋に病因がある。
4. 症状に日内変動がある。
5. 抗ガングリオシド抗体が出現する。
答え:5

これらの過去問のようにマイナーな疾患についての出題は毎年散見され、国試本番で受験生を不安な気持ちにさせています。また、こういったマイナー疾患は授業で習っていない場合も多く、教科書内でも2-3行しか触れられてない、というようなケースもあります。だからこそ、過去問で出てきたマイナー疾患については、答えを覚えて終わりではなく、調べて理解を深めておいてほしいのです。なぜなら、国家試験240問のうち4割近くは、過去問のアレンジです。つまり、過去に出たマイナー疾患が、再度出題される可能性があるからです!!

112回の問題も見てみましょう。

第112回 AM 29 
多発性骨髄腫で腫瘍化しているのはどれか。
1.B細胞
2.T細胞  
3.形質細胞  
4.造血幹細胞
答え:3

なお、多発性骨髄腫が科目「疾病の成り立ちと回復の促進」で出題されたのは100回までさかのぼります。その時は誤り選択肢でした。

第100回 AM 32 
ウイルスが原因で発症するのはどれか。
1.多発性骨髄腫
2.T鉄欠乏性貧血
3.再生不良性貧血 
4.成人T細胞白血病
答え:4

112回のAM29の各選択肢について確認しておきましょう。
設問は、「多発性骨髄腫で腫瘍化しているのはどれか。」です。
1.× B細胞が腫瘍化する疾患には、「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」があります。
2.× T細胞が腫瘍化する疾患に「成人T細胞白血病」がある。成人T細胞白血病はHTLV-1〈ヒトT細胞白血病ウイルス1型〉の感染によって引き起こされます。
3.○ 多発性骨髄腫は、形質細胞が腫瘍化した疾患です。腫瘍化した形質細胞は、異物を攻撃する能力がない抗体(Mタンパク)をつくり続けます。このMタンパクの一部が腎臓で濾過されて尿中に出現すると、ベンスジョーンズ蛋白〈BJP〉が検出されます。
4.× 造血幹細胞が腫瘍化する疾患として、各種白血病が挙げられます。
 
ご覧いただいたように、過去問をやった時、「これはマイナーな疾患だから覚えなくてもいいでしょう?」、「×選択肢は覚えなくていいや」などの油断は禁物ですね。挑戦した過去問一つひとつを丁寧に復習していくことこそ、国試攻略法のひとつなのです。

 

今回のポイントふまえた過去問を、コチラにまとめています。ぜひご利用ください。
次回は、健康支援と社会保障制度について説明します!