今回は、「老年看護学」についてです。
正答率は比較的高い科目です。過去問題を一通り解くことで出題傾向を掴むことができ、点数獲得につながります。

では、具体的にはどのように攻略していけばよいでしょうか?

老年看護学攻略の攻略ポイントは?

老年看護学の攻略ポイントは、これだ!

1)高齢者の社会保障制度に関する詳細な問題に注意!
2)カタカナ用語をチェックしよう!
3)認知症に関する問題は必ず出題される!

 

1)高齢者の社会保障制度に関する詳細な問題に注意! について

高齢者に関する社会保障制度や法律(年金、介護保険、高齢者虐待防止法、成年後見制度など)については、必修問題や社会保障制度での出題もあります。注意したいのは、老年看護学で出題されるそれらに関するかなり突っ込んだ内容の問題です。

過去問を見ていきましょう。

第112回 AM55
65歳以上の高齢者が要介護認定の有無に関わらず利用できるのはどれか。
1.介護予防教室
2.介護老人保健施設
3.夜間対応型訪問介護
4.通所介護〈デイサービス〉
答え:1

選択肢を見ていきましょう。
1.○ 介護予防教室は、総合事業の一般介護予防事業に該当するものです。したがって、要介護認定を受けることなく利用が可能です。 
2.× 介護老人保健施設は、施設サービスの一つです。要介護1〜5に認定された方を対象としています。
3.× 夜間対応型訪問介護は、地域密着型サービスの一つです。要介護1〜5と認定された方のみ利用できます。
4.× 通所介護〈デイサービス〉は、居宅サービスの一つです。要介護1〜5に認定された方が利用できます。

 
この問題は、介護保険法の認定を受けなくても利用できるものを聞くという、従来の問い方とは異なる問題です。

介護保険法における総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業として定められています。)とは、市町村が中心となって、地域の実情に応じて、住民などの多様な主体が参画し、多様なサービスを充実することで、地域の支え合い体制づくりを推進し、要支援者などの方に対する効果的かつ効率的な支援などを可能とすることを目指すものです。
この総合事業は、要介護認定を受けることなく利用が可能です。2種類の事業があり、それを受けられる対象者が限定されています。

事業の種類対象者
(1)介護予防・生活支援サービス事業・要支援1、2
・「基本チェックリスト」で事業対象者と判断された方
(2)一般介護予防事業65歳以上のすべての高齢者

表の内容について、もう少し説明を加えます。
(1)介護予防・生活支援サービス事業
大きく分けると以下の4つのサービスがあります。
・訪問型サービス
・通所型サービス
・その他の生活支援サービス
・介護予防ケアマネジメント

(2)一般介護予防事業
65歳以上のすべての高齢者が利用できる「一般介護予防事業」は、市区町村の支援により実施されます。
介護予防に関する教室や地域住民が主体となった体操教室など、地域によって実施される内容は異なりますが、いずれも高齢者の心身機能の低下を防ぎ、健康づくりや暮らしの向上による介護予防が目的とされています。
・フレイル予防講習会
・機能の向上教室
・体操教室
・地域コミュニティ
・サークル活動
・介護予防のためのボランティア活動
などが実施されています。

こういった問題は、過去問でも出題が少なく、かつどのポイントが狙われるのかの予想が難しいです。やはり、過去問で介護保険サービスを勉強した時に、周辺知識まで深掘りしておくことでしょう。とはいえ、まずは介護保険サービスの基本をしっかり押さえておき、そのうえで、周辺知識まで学習を広げられるとよいですね。
 

2)カタカナ用語をチェックしよう! について

112回では出題はありませんでしたが、カタカナ用語に関する問題は老年看護学では111回まではほぼ毎年、出題されていました。。
過去問を見てみましょう。

第110回 AM90
身体的フレイルの評価基準はどれか。2つ選べ。
1.視力低下
2.体重減少
3.聴力低下
4.歩行速度の低下
5.腸蠕動運動の低下
答え:2・4

フレイルとは、老化に伴うさまざまな機能の低下(予備能力の低下)により、疾病発症や身体機能障害に対する脆弱性が増す状態をいいます。フレイルの評価基準には様々なものがありますが、アメリカのフリード L. P. Friedらが提唱した CHS(cardiovascular health study)基準〈フリード Friedの基準〉が国際的に多く用いられています。
この基準は(1)体重減少、(2)主観的疲労感、(3)日常生活活動量の減少、(4)身体能力(歩行速度)の減弱、(5)筋力(握力)の低下の5項目のうち、3項目以上該当するとフレイル、1 または2項目だけ該当する場合にはフレイルの前段階であるプレフレイルと判断するものです。この基準は身体的フレイルの評価に限定されていることや、日本人にそのまま適用しにくいという点が指摘されており、このフリードの基準を基盤としたうえで、日本人に適用しやすい国内共通の評価基準(日本版CHS基準)がのちに開発されています。
以上のことから、選択肢で該当するのは2と4になります。

これ以外にもPEM(ペム)、サルコペニア、ロコモティブシンドローム、エイジズムなども近年話題になっていますね。また、評価基準もカタカナ名称のものがありますね(カッツインデックス、バーセルインデックスなど)。なんとなく「確かこんな意味だったよね?」というレベルの理解だと、国試本番の緊張からど忘れしてしまったりすることもありますので、正しく理解しておくことが大切です。
 

3)認知症に関する問題は必ず出題される! について

認知症に関する問題は、患者数が最も多いアルツハイマー型認知症に重点を置きがちですが、レビー小体型、前頭側頭型、脳血管性も数年ごとに出題されていますし、コミュニケーション方法なども出題されやすいポイントです。

第110回 PM49
認知症高齢者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。
1. 説得するように話す。
2. 作話があっても話を聞く。
3. 一度に多くの情報を伝える。
4. 同じ内容を繰り返している場合は会話を終了する。
答え:2

選択肢1ですが、認知症の人が納得・安心できる話し方を心がけます。そのためには、否定や訂正、指摘をせず安心して心地よく話せるように傾聴します。よって、選択肢2が〇。選択肢3、一文に複数のメッセージを盛り込まないようにし、簡単な文で1つの要素を伝えましょう。選択肢4は、選択肢2と同様、相手を否定せず、発話をゆっくり待つことが大切です。

認知症の攻略法ですが、まずは代表的な認知症についてそれぞれの好発年齢、障害部位、特徴、経過などを押さえましょう。次に、認知症の検査(長谷川式認知症スケール〔HDS-R〕、ミニメンタルステートテスト〔MMSE〕)の評価方法、認知症の中核症状、行動・心理症状、それらに対応する看護をおさえます。そして、各認知症の出題傾向を調べてどういった点が狙われやすいのか、という点を理解すると、さまざまな方向から問われても得点につながりやすくなります。

 
今回の3ポイントふまえた過去問を、コチラにまとめています。ぜひご利用ください。
次回は、小児看護学について説明します!