目がかゆい!くしゃみが止まらない!そろそろ花粉が飛び始めているようです。先日、ネットニュースでこんな記事を見かけました。

春の花粉シーズンが本格化するのを前に、環境省は1日、全国各地で観測している花粉飛散データの公開を専用ホームページで始めた。5月末まで続け、リアルタイムで飛散状況を確認できる。花粉症の症状緩和や予防対策に役立ててほしいとしている。

環境省によると、市街地を中心に全国120カ所に設置した計測器で、1立方メートル当たりの花粉数を調べ、ホームページ上の地図に示す。花粉の発生源となる山間部の飛散状況や、花粉の移動を予測できるように風向きや風速も表示。データは1時間おきに更新する。
----東京新聞 2020年2月1日


ということで、今回はアレルギーについて調べてみよう!

 
用意した参考資料は・・・
○医学書院刊『病態生理学』『アレルギー 膠原病 感染症』
○国試過去問題集
○日本アレルギー学会
https://www.jsa-pr.jp/
○厚生労働省 花粉症特集
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kafun/index.html

花粉症はI型アレルギー

アレルギーとは、免疫反応に基づく生体に対する全身的または局所的な障害です。花粉症の人がアレルゲン(抗原)である花粉を吸いこむと、すぐにくしゃみや鼻水が出たり、目がかゆくなったりします。こういった短い時間で症状が現れるアレルギー反応をI型と言います。

 

アレルギー反応の種類は4つ!

血中抗体による液性免疫反応に基づくアレルギー(I、II、III型アレルギー)と、T細胞(Tリンパ球)による細胞性免疫反応に基づくアレルギー(IV型アレルギー)に大別されます。
■I型(即時型、アナフィラキシー型)
【抗体】IgE
【疾患】アナフィラキシーショック、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、蕁麻疹(じんましん)、花粉症、薬物アレルギー、食物アレルギーなど
■II型(細胞障害型、細胞融解型)
【抗体】IgG、IgM
【疾患】血液型不適応輸血、自己免疫性血液疾患など
■III型(遅発型、免疫複合体型、アルサス型)
【抗体】IgG、IgM
【疾患】血清病、糸球体腎炎、全身性エリテマトーデスなど
■IV型(遅延型、細胞性免疫ツベルクリン型)
【抗体】T細胞(Tリンパ球)
【疾患】ツベルクリン反応、接触性皮膚炎、移植拒絶反応など

 

即時型と遅延型は、関与する抗体が違う!

■即時型アレルギー反応
IgE抗体が、皮膚・腸粘膜・気管支粘膜・鼻粘膜・結膜などにいる肥満細胞(マスト細胞)に結合した状態で抗原と出合うことにより、肥満細胞(マスト細胞)から化学伝達物質(ヒスタミン、ロイコトリエン、など)が放出され、アレルギー反応が引き起こされます。

■遅延型アレルギー反応
IgE抗体に依存しない非即時型と呼ばれる反応で、T細胞(Tリンパ球)が関与します。抗原提示によりT細胞が活性化され、サイトカイン産生を介し、炎症性細胞を集積させ、組織を傷害します。

 

アナフィラキシーの症状と治療は?

■症状
特定の起因物質により生じた全身性のアレルギー反応をアナフィラキシーと呼びます。時として生命に危機を与え得る過敏反応です。全身の血管拡張や収縮抑制による血圧低下やショック、気管支平滑筋収縮と喉頭浮腫による呼吸困難などの循環器・呼吸器症状を示します。

■治療
アナフィラキシーの治療には、循環器・呼吸器症状の改善にはアドレナリンなどを用います。また、アレルギー反応の抑制には副腎皮質ステロイド薬などを用います。

 

国試ではこう出る!

【第103回 PM83】
IV型(遅延型)アレルギー反応について正しいのはどれか。2つ選べ。
1. IgE抗体が関与する。
2. 肥満細胞が関与する。
3. Tリンパ球が関与する。  ○
4. ヒスタミンが放出される。
5. ツベルクリン反応でみられる。  ○
【第105回 AM70】
接触性皮膚炎の原因となるアレルギー反応で正しいのはどれか。
1. I型
2. II型
3. III型 ○
4. IV型 ○
5. V型
【第108回 PM84】
アナフィラキシーショックで正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 徐脈になる。
2. 重症例では死に至る。  ○ 
3. 気道粘膜の浮腫を生じる。  ○
4. III型アレルギー反応である。
5. 副腎皮質ステロイドは禁忌である。

国民の約5割が何かしらのアレルギー疾患にかかっていると言われているよ。国試にも毎年出ているからしっかり復習しておこう!