先日、新聞でこんな記事を見かけました。

4人に1人はその命を救えたかもしれない……。子どもの死亡事例の調査結果を踏まえて、事故や病気、虐待など、死因を問わずに全ての子どもの死について検証する「チャイルド・デス・レビュー(CDR)」のモデル事業を、厚生労働省が始めた。
----毎日新聞 2020年9月3日(木)


ということで、今回は子どもの死について調べてみよう!

 
用意した参考資料は・・・
○毎日新聞 2020年9月3日(木)の記事
○一般財団法人厚生労働統計協会刊『国民衛生の動向 2019/2020』P.66~69、76
○厚生労働省HP 「チャイルド・デス・レビュー(Child Death Review)に関する資料」
○国試過去問題集

 

子どもの死亡の概要

■子ども(0~19歳)を、0~4歳、5~9歳、10~14歳、15~19歳の4区分に分けると、死亡者数が一番多いのは、0~4歳である(52.7%、2,618人〔2016年データ〕)。死亡率が一番多いのは1990年代までさかのぼっても、0~4歳である。
次に死亡率が多いのは15~19歳で、19.3%(1,166人)。5~9歳、10~14歳はそれぞれ10%以下となっている。

 

0~4歳の死について

■0~4歳の死因のうち、病死は77.0%、外死因(不慮の事故、他殺など)は14.6%、他に分類されないものは8.4%となっている。
■さらに詳しくみると、0歳児の外死因のうち「不良の窒息」が6.2%、「他に分類されないもの」が27.0%となっている(乳幼児突然死症候群は「ほかに分類されないもの」の含まれる)。

 

15~19歳の死について

■15~19歳児の死因のうち、自殺は7.1%(430人)、交通事故は3.4%(204人)であり、この世代の死因の上位2つである。
■自殺については、現在の年間総自殺者数は2万人前後であり、15~19歳の割合が多いわけではない。とはいえ、学業や学校生活、友人・恋愛・家族関係など悩みは尽きない年齢でもあり、多様な経験をしていない世代だからこそ、その悩みからの脱却方法が見つからないことが反映された数字でもあろう。

 

その他の年齢区分の死について

■5~9歳においては、交通事故0.6%(34人)、不慮の溺死および溺水0.3%(18)人となり、行動範囲が広がった年齢を反映した結果と言える。
■10~14歳においては、自殺1.3%(71人)、交通事故0.5%(26人)となっており、小学校高学年~中学生にも自殺の影が迫っていることがわかる。

 

国試ではこう出る!

【第108回 PM52】
平成27年(2015年)の人口動態調査で、5~9歳の死因における不慮の事故の原因で最も多いのはどれか。
1. 窒息 ×
2. 交通事故 ○
3. 転倒・転落 ×
4. 溺死および溺水 ×
【第102回 PM69】
乳児の事故防止として正しいのはどれか。
1. 直径25mmの玩具で遊ばせる。 ×
2. ベッドにいるときはベッド柵を上げる。 ○
3. うつ伏せで遊ばせるときは柔らかい布団を敷く。 ×
4. 屋外で遊ばせるときはフード付きの衣服を着用させる。 ×
【第100回 PM70】
4か月児の生活環境を整える援助として最も適切なのはどれか。
1. 仰臥位で寝かせる。 ○
2. 柔らかい布団に寝かせる。 ×
3. ベッド柵は上げなくてよい。 ×
4. おもちゃとしてビー玉を用意する。 ×

冒頭の新聞記事によると、2014~2016年の18歳未満の死亡例、約2,400件のうち、28%が予防できた可能性があったそうだよ。事故のケースを集めて、予防策を広く知らしめ、死亡件数を減らすことがCDRの目的なんだよね。乳幼児突然死症候群<SIDS>も、妊婦さんに広く知らせることで、死者数が減ったから、同様の効果がありそうだよね。特に、医療的ケアが必要なお子さんがいる家族などにとっては有用な情報だよね。