先日、新聞でこんな記事を見かけました。

季節性インフルエンザの流行が、世界中でまったくと言っていいほど起きていない。(中略)新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの今冬の同時流行が懸念されているが、いったい何が起きているのだろうか。
----毎日新聞 2020年10月4日(日)


ということで、今回は季節性インフルエンザについて調べてみよう!

 
用意した参考資料は・・・
○毎日新聞 2020年10月4日(日)の記事
○医学書院刊 『系統看護学講座 専門基礎分野 病理学』P.211
国立感染症研究所HP
○国試過去問題集

 

季節性インフルエンザとは

■インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原とする気道感染症であり、5類感染症(定点報告対象)に分類されている。
■インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型の3型がある。
冬季に流行的するのはA型とB型である。A(H1N1)亜型、A(H3N2)亜型(いわゆる香港型と呼ばれるもの)、B型があり、いずれも流行の可能性がある。

 

具体的な症状について

■典型的なインフルエンザは、潜伏期間1~3日間ほどの後に、発熱(通常38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが突然あらわれる。次いで、咳、鼻汁などの上気道炎症状があらわれ、1週間ほどで軽快する
■いわゆる「かぜ」に比べて全身症状が強い。
■とくに、高齢者や、呼吸器、循環器、腎臓に慢性疾患を持つ患者、糖尿病などの代謝疾患、免疫機能が低下している患者には注意が必要である。原疾患の増悪や、呼吸器に二次的な細菌感染症を起こしやすくなり、入院や死亡の危険が増加する。
■小児では中耳炎の合併、熱性痙攣や気管支喘息を誘発することもある。
近年、幼児を中心に、急激に悪化する急性脳症(インフルエンザ脳症)が増加している。毎年50~200人のインフルエンザ脳症患者が報告されており、その約10~30%が死亡している。

 

治療

■対処療法として、解熱剤が必要な場合は、なるべくアセトアミノフェンを使用する。
■合併症予防のため、肺炎や気管支炎の併発やその後の重症化が予想される患者に対しては、抗菌薬の投与が行われることがある。
合併症のない患者で発症後48時間以内の場合は、抗ウイルス薬(ノイラミニダーゼ阻害薬)による、症状緩和、罹病期間の短縮が確認されている。また、症状緩和の目的で軽症の外来患者に投与することで、重症化や入院の抑制につながっている。

 

予防

飛沫感染によって感染するので、マスク着用で咳嗽やくしゃみによる飛散を避ける。
流行期には、人込みを避け、外出後のうがいや手洗いを励行する。
■インフルエンザワクチンの接種は、感染や発症そのものを完全に防御するものではない。
インフルエンザワクチン接種は、重症化や合併症の発生を予防する効果は証明されている。高齢者が予防接種した場合、接種しなかった場合に比べて、死亡の危険を1/5に、入院の危険を約1/3~1/2にまで減少させることが期待できる。
■現在は、原則65歳以上はインフルエンザワクチンの予防接種が、定期予防接種の対象となっている(予防接種法による)。

 

国試ではこう出る!

【第104回 AM 59】
インフルエンザが流行しているが、小規模多機能型居宅介護を行う事業所では罹患者はいない。  
この事業所で看護師が行う罹患予防の対策で最も適切なのはどれか。
1. 宿泊の利用を断る。 ×
2. 湿度を10%以下に保つ。 ×
3. 利用者に手洗いを勧める。 ○
4. 利用者に予防的に抗インフルエンザ薬を与薬する。 ×
【第106回 PM 15】
飛沫感染するのはどれか。
1. 疥 癬 ×
2. コレラ ×
3. A型肝炎 ×
4. インフルエンザ ○
【第108回 PM 43】
成人患者の気管支喘の治療で正しいのはどれか。
1. テオフィリンの投与中は血中濃度の測定が必要である。 ○
2. 副腎皮質ステロイド薬吸入後の含嗽は必要ない。 ×
3. インフルエンザワクチン接種は禁忌である。 ×
4. 発作時にはβ遮断薬を内服する。 ×

冒頭の新聞記事にあるように、厚労省によると、9月後半の1週間でのインフルエンザ罹患者数は全国で7人、前年同期が4,543人だったので大幅減となっているそうだよ。マスクや手洗いなど、今や日常に浸透した新型コロナウイルス対策がインフルエンザにも効果的だったと指摘する研究者も多いそう。一方、これから冬を迎えるにあたって、インフルエンザとコロナの同時流行も懸念されているね。引き続き、しっかり予防をしていかないとね。