先日、新聞でこんな記事を見かけました。

新型コロナウイルス感染拡大が進む中、WHOは「感染した際の重症化リスクを高める」として禁煙を呼びかけている。
----毎日新聞 2020年4月18日(土)


ということで、今回は喫煙と健康問題について調べてみよう!

 
用意した参考資料は・・・
○毎日新聞 2020年4月14日(火)の記事
○医学書院刊『系統看護学講座 専門分野Ⅱ 成人看護学総論』(第15版)P.51~53,180~181
○国試過去問題集

喫煙をとりまく状況

■平成30(2018)年の「国民健康・栄養調査」で、現在習慣的に喫煙している者の割合は17.8%。男女別にみると、男性29.0%、女性8.1%。この10年を見ると有意に減少している。一方で30~60歳代男性では、その割合が高く、喫煙者は30%を超える
■喫煙は当事者だけの問題ではなく、受動喫煙によって、他者に健康被害をもたらす
■受動喫煙の機会となる場は、飲食店が約37%、遊技場が約30%、路上が約31%とされる。
■平成15(2003)年、受動喫煙防止に関する規定が盛り込まれた「健康増進法」が施行。平成30(2018)年健康増進法が改正され、令和2(2020)年4月から受動喫煙防止の徹底が図られた。それにより、飲食店なども含む屋内は、原則禁煙となった
(厚生労働省「なくそう!のぞまない受動喫煙」https://jyudokitsuen.mhlw.go.jp/
■平成24(2012)年に策定された健康日本21(第2次)においては、次の4つが喫煙に関する目標が挙げられている。(1)成人の喫煙率の減少 (2)未成年者の喫煙をなくす (3)妊娠中の喫煙をなくす (4)受動喫煙(家庭・職場・飲食店 ・行政機関・医療機関)の機会を有する者の割合の減少。

 

喫煙による健康問題

■喫煙はほぼすべての臓器が害を受け、がんなどの原因になる。
■肺癌をはじめとして、虚血性心疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、胃・十二指腸潰瘍、循環器系への急性影響などがある。
■受動喫煙による疾患として、成人の場合、肺癌や虚血性心疾患のリスクが高まる
■受動喫煙による疾患として、妊婦の場合、低出生体重児、早産のリスクが高まる
■受動喫煙による疾患として、子どもの場合は、喘息、肺の発達遅延、乳児突然死症候群(SIDS)、急性呼吸器感染症、中耳炎などがある。

 

禁煙を支援する動き

■たばこに含まれるニコチンには強い依存性がある。そのため、本人がたばこをやめたいと思ってもやめられない、という状態になることが多くみられる
■平成18(2006)年より、一定の水準を満たす患者が健康保険で禁煙治療を受けられる禁煙外来がスタート。
■厚生労働省では、最新の科学的知見による禁煙支援マニュアルを策定。職場の衛生管理者、地域の保健事業担当者なども対象とした喫煙に関する健康教育を行うための知識を明示したものとなっている。(厚生労働省 禁煙支援マニュアル

 

国試ではこう出る!

【第102回 AM35】
健康日本21でたばこ対策として取り組んでいる目標はどれか。
1. 禁煙外来受診者の増加 ×
2. 公共の場での分煙の徹底 ○
3. 育児中の母親の喫煙の減少 ×
4. 喫煙が及ぼす社会的影響についての知識の普及 ×
【第107回 AM42】
生活習慣が発症に関連している疾患はどれか。
1. 肺気腫 ○
2. 1型糖尿病 ×
3. 肥大型心筋症 ×
4. 重症筋無力症 ×
【第109回 PM2】
平成29年(2017年)の国民健康・栄養調査で20歳以上の男性における喫煙習慣の割合に最も近いのはどれか。
1. 10% ×
2. 20% ×
3. 30% ○
4. 40% ×

さまざまな場面で「禁煙! 禁煙!」と耳にするわりには、男性の30~60歳代の喫煙者の割合が各世代40%に近いことにビックリ! 加熱式たばこの普及も禁煙率に影響を与えていそうだよね。でも、冒頭の新聞記事を全部読むと、加熱式たばこは新型コロナウイルスではより注意が必要、と書いてあったよ!(新型コロナウイルスは、空気中のエアロゾルによる感染拡大の可能性が指摘されている。加熱式たばこはエアロゾルを大量に出すからだそう。)