今回頂いた質問

標準看護計画の標準てなんですか? 何の標準?

ご質問ありがとうございます。
標準看護計画の「標準」ですか。なるほど・・・。あらためて問われると、確かにその通り。疑問に思うところですね。

こういうときは、そもそもこの標準看護計画が何のために必要なものなのか。どういう役割のものなのか、さかのぼって考えてみましょう。まず看護計画は、看護過程のなかで必要になるものです。ここを押さえましょう。

看護過程は、問題解決理論(過程)を取り入れ、患者-看護師関係を基盤として展開される科学的・系統的なアプローチのことです。看護を実践する者が、看護により解決できる問題を効果的に取り上げ、解決していくために、系統的、組織的に行う活動全体をさします。

看護過程は、看護に必要な情報収集、情報整理、解釈、問題の予測・確認・明確化、計画立案、実施、評価を構造として実践されます。

この計画立案のところに、看護計画が登場します。
では看護計画と、標準看護計画は、どう違うか・・・。

看護診断名に合わせて作成されている標準看護計画をベースにして、個別の看護計画が立案される、とイメージすると良いでしょう。

例えば、標準看護計画で「清拭する」とあった場合、いつ・どこで・だれが・どのように行うのかを、より具体的にしていくのが看護計画なんですね。

全ての看護診断名に合わせた標準看護計画を立案するのは困難で、その施設によって、よく看護診断されるものを選択し、施設内の看護職で検討して標準看護計画が作成されていることが多いようです。

つまり標準というのは、その施設にとって標準ということになります。
(ただし、一般的な書籍で公表されている、看護診断名別・疾患別・治療処置別・症状別・検査別に作成されているものを施設にそのまま取りいれているところもあります)

標準看護計画があると、ケアに漏れが生じることが少なくなります。より個別性を創造しやすくなり、質が保障され、業務の効率化も図れます。

また、看護師の知識や施設の看護を記録として蓄積していくこともできます。スキルアップにも役立つんですね。

関連ページもチェックしてみよう!
小児実習の看護計画について

回答は以上になります。
では、国家試験の問題を実際に解いてみましょう。「看護過程」についての問題です。

問題

第99回 看護師国家試験 午後問題19

看護過程における看護上の問題で正しいのはどれか。

1. 問題の原因は1つにしぼる。
2. 原因が不明な事象は問題でない。
3. 危険性があることは問題になる。
4. 優先度は問題解決まで変更しない。

1.× 看護では問題の原因は、複数の要因が関連していることが多い。1つにしぼってしまうと、この関連がみえなくなる。
2.× 問題の原因が不明なことも多い。こうした場合は問題のみをあげ、情報収集の過程で、原因の特定を図る。
3.○ 危険性があることも問題となる。危険の要因を特定していく。
4.× 容体や病状により状況は変化するので、状況により優先度も変更する。

正解…3

●「基礎看護学」の理解を深めるには
科目別強化トレーニング「基礎看護学」
●「必修問題」で着実に得点するには
必修問題対策トレーニング

医教では、「国試に役立つみんなの質問」を募集します。詳しくはこちらをご覧ください。

編集部より

「標準」もそうですが、看護の現場ではことばのイメージがつきにくかったり、使われ方が一般とは違ったりする場合(たとえば「予防」なんかもそうですね)が多いですよね。こういうときには、今回のように何のために必要なものなのか、どういう役割のものなのか、さかのぼって考えてみましょう。遠回りのようですが、きちんと理解できると、忘れることがなくなります。