今回頂いた質問

守秘義務ってなんですか? 看護師にも守秘義務ってありますか?

ご質問ありがとうございます。
守秘義務というのは、一定の職業や職務に従事する者・従事した者に対して特別に課せられた職務上知った秘密を守る法律上の義務のことです。

刑法第134条では「医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者」について、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処するとされています。

もちろん看護師も、患者さんやそのご家族の秘密・プライバシーに関わる場面・機会の多い職業です。ですから当然、看護師にも守秘義務はあります!

看護師の守秘義務の規定は保健師助産師看護師法で定められています。

(1)保健師、看護師または准看護師は、正当な理由なく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。
(2)保健師、看護師または准看護師でなくなった後においても同様とする。
(3)この規定に違反した者は、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金に処せられる。

「保健師、看護師または准看護師でなくなった後においても同様」というのが大切ですね。例えば結婚や育児、定年などで勤め先の医療施設を退職した後でも、業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならないという守秘義務は続きます。患者の秘密・プライバシーは、守られなければなりません。いずれ看護師として医療現場で働く皆さんも、心に留めておきましょう。

関連ページもチェックしてみよう!
Q 業務従事者届について

回答は以上になります。
では、国家試験の問題を実際に解いてみましょう。

問題

第93回 看護師国家試験 午前問題43

看護師の守秘義務で正しいのはどれか。

1. 患者の死亡により消滅する。
2. 事例検討であれば課せられない。
3. 退職した後にも継続する。
4. 仮に守らなくても刑罰はない。

1.× 患者が亡くなっても、業務上知り得た秘密を漏らしてはならない。
2.× 事例検討だからといって例外にはならない。また、個人は特定できないようにしなければならず、検討の際患者の同意も必要である。
3.○ 退職後にも守秘義務はある。
4.× 守らなければ、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金に処せられる。

正解…3

●「健康支援と社会保障制度」の理解を深めるには
科目別強化トレーニング「健康支援と社会保障制度」

●「必修問題」で着実に得点するには
必修問題対策トレーニング

医教では、「国試に役立つみんなの質問」を募集します。詳しくはこちらをご覧ください。

編集部より

保健師助産師看護師法に守秘義務規定が明記されたのは、平成13(2001)年です。わりと最近ですよね? すでに資格法の多くに守秘義務規定は記されていたのですが、保健師助産師看護師法は昭和23(1948)年につくられたものなので、記されていませんでした(ちなみに法律の名称もまだ「保健婦助産婦看護婦法」でした)。時代の変化に合わせて法律も変わります。新たな変更点は国家試験で問われることも多いので、注意しておきましょう。