今回頂いた質問

小児実習で、実習中の行動計画を立てなくてはならないのですが、最低限どのようなポイントを挙げたらよいか教えてください。

ご質問ありがとうございます。

実習中の行動計画、普段みなさんはどのような方法で立てていますか?
「どうやって立てたらいいの?」と悩む看護学生はとても多いものです。そこで今回は、前回説明した「ファロー四徴症の患児」の事例を通して、実習中の行動計画を立てる際のポイントをご紹介しましょう。

実習中の行動計画を立てる際のポイント~疾患や病態をアセスメントしよう

実習中の行動計画とは、看護過程でいうと看護計画のことです。看護計画を立てる上で、アセスメントは欠かせない作業です。
「ファロー四徴症」のアセスメントについて

次に、アセスメントを参考にしながら、必要と思われる看護計画(行動計画)について考えてみましょう。

実施する看護ケア

ファロー四徴症では、心奇形による心臓への負担が大きくなります。また、低酸素血症による呼吸苦のリスクもあります。これらの負担を少しでも軽減するためのケアとしては、「便通の調節(怒責による血圧上昇を防ぐ)」「泣かせない工夫(患児が心身ともにリラックスして過ごせるような環境づくり)」「安楽な体位の工夫(呼吸苦の軽減)」などが挙げられますね。

ここで忘れてはならないのは、看護ケアに「個別性」をプラスしていくことです。たとえば、好きな遊びやキャラクターは、年齢の幼い患児であっても好みがハッキリと分かれるところです。また、排便の性状や頻度も患児によって違いますね。治療や入院生活への不安も、患児によって度合いが違います。このように、看護ケアを提供する上では、患児ひとりひとりに合わせた工夫していくことが大切です。あなたが学生としてできる看護ケアを、行動計画に盛り込んでいきましょう。

家族への指導やフォロー

小児看護の対象は、患児だけではありません。患児の療養を支える家族(両親またはそれに代わる人)への看護ケアもまた、看護師にとって重要なポイントです。
特に、退院後の生活で注意すべき点は、家族を対象にした指導になる場合が多いです。「無酸素発作が起きた時には、膝胸位や蹲踞の姿勢をとらせた上ですぐに救急車を呼びましょう」「感染性心内膜炎の合併を防ぐため、外から帰ったらうがいや手洗いをしましょう」など、家族の協力を得ていくための指導が必要でしょう。パンフレットなどを作成してわかりやすく伝えるなど、あなたが学生として工夫できる点があれば、行動計画に盛り込んでいきましょう。

回答は以上になります。
では、国家試験の問題を実際に解いてみましょう。

問題

第99回 看護師国家試験 午前問題111

4歳の男児。5日前から咳嗽と鼻汁とが出現し、食事摂取量が減っていた。本日、起床時から機嫌が悪く38.9℃の発熱がみられた。水分を与えようとしたところ突然全身がガクガクするけいれんを起こしたため、救急搬入された。母親は来院時から動揺しており、診察室の中で「もっと早く病院に来れば良かった。ごめんね、ごめんね」と言って泣いている。
母親への対応で最も適切なのはどれか。
1. けいれんを止める方法について説明する。
2. 今回の受診は決して遅くはないと伝える。
3. 子どもの前で母親が泣いてはいけないと伝える。
4. 気持ちが落ち着くまで子どものケアへの参加は勧めない。

1.× 母親は動揺しており、現時点では説明を聞き入れられる状況ではありません。
2.○ 今回の受診は決して遅くないと伝え、後悔や自責の念を和らげるよう関わることが重要です。
3.× 感情表出は、受容への第一歩です。「泣いてはいけない」と母親の感情表出を抑えてはいけません。
4.× 母親の体調や感情に配慮しながら、子どもへのケアに参加できるような環境をつくることが大切です。

答え…2