今回頂いた質問

『母乳育児を成功させるための10か条』というものを知りました。具体的にはどのようなものなのでしょうか?

『母乳育児を成功させるための10か条』は、WHOとユニセフが1989年に世界中のすべての産科施設に対して出した共同声明です。

その後、1991年にこの10か条を採用し、遵守・実践している産科施設を『赤ちゃんにやさしい病院(Baby Friendly Hospital:BFH)』として認定することを決定しました。

2013年8月時点で、全世界に約1万5,000施設が認定されていますが、日本国内では69施設が認定されています。

母乳育児を成功させるための10か条

① 母乳育児の方針を全ての医療に関わっている人に、常に知らせること
② 全ての医療従事者に母乳育児をするために必要な知識と技術を教えること
③ 全ての妊婦に母乳育児の良い点とその方法をよく知らせること
④ 母親が分娩後、30分以内に母乳を飲ませられるように援助すること
⑤ 母親に授乳の指導を十分にし、もし赤ちゃんから離れることがあっても母乳の分泌を維持する方法を教えること
⑥ 医学的な必要がないのに母乳以外のもの、水分、糖水、人工乳を与えないこと
⑦ 母子同室にする。赤ちゃんと母親が一日中24時間、一緒にいられるようにすること
⑧ 赤ちゃんが欲しがる時に、欲しがるままの授乳をすすめること
⑨ 母乳を飲んでいる赤ちゃんにゴムの乳首やおしゃぶりを与えないこと
⑩ 母乳育児のための支援グループ作りを援助し、退院する母親にこのようなグループを紹介すること

以上を理解した上で、看護師国家試験の過去問題を解いてみましょう。

問題

第101回 看護師国家試験 午後問題83

人工乳と比べた母乳栄養の利点で誤っているのはどれか。

.消化吸収しやすい。
2.感染防御作用がある。
3.母子相互作用を高める。
4. ビタミンK含有量が多い。
5.アレルギーを生じる可能性が低い。

1. 母乳に多く含まれる多価不飽和脂肪酸は吸収されやすい。
2. 母乳には、感染防御作用の免疫グロブリン、ラクトフェリンなどが多く含まれている。
3. 母乳栄養によって母子相互作用は高まる。
4.× ビタミンKは母乳中にほとんど含まれていないため、乳児ビタミンK欠乏性出血症を予防するためのビタミンKの投与が行われる。
5. 母乳栄養とアレルギー発症の関係は不明である。
 
正解は… 4

編集部より

母乳や育児に関する情報は時代によっても左右されます。 今の時代、お母さんたちはあらゆるところから情報を得ることもできます。そんな溢れかえった情報にお母さんたちが戸惑うことがないよう、自信をもって楽しく育児ができるように、確実な知識を提供することが母性看護では非常に重要ですね。