今回頂いた質問

皮下注射と筋肉内注射の違いがよく分かりません。
教えてください。

ご質問ありがとうございます。

皮下注射と筋肉内注射の違いについて、下記にまとめましたのでご参照ください。

皮下注射筋肉内注射
目的薬液を皮下組織に注入する薬液を筋肉の筋層内に注入する
特徴筋肉内注射や静脈内注射に比べて薬液の吸収速度は遅いが、持続時間は長い。血中濃度がゆっくりと上昇するため、有効血中濃度を長時間持続できる。筋肉内は血管が豊富である。そのため、薬液の吸収速度が速い(皮下注射の2倍)。また、薬液の吸収がスムーズで、油性や混濁液の薬物も投与できる。
注射針22G~25G(おもに23G)21G~23G(おもに22G)
注射部位一般に、上腕骨頭中止部と肘頭を結び、上から2/3のところで、毛根や瘢痕のない部位を選ぶ。(上腕外側の下部は橈骨神経を損傷する危険があるため、刺入を避ける)一般に、三角筋や中殿筋を選ぶ。血管や神経の走行が少ない部位が適している。
刺入方法(1)注射部位を消毒する
(2)消毒部位を避けて、親指と人差し指で刺入部位の皮膚をつまむ
(3)10~30℃の角度で、針を1cm程度刺入し、固定する
(1)注射部位を消毒する
(2)消毒部位を避けて、手で引っ張るように皮膚を進展させる
(3)45~90℃の角度で、針を2cm程度刺入し、固定する
注意刺入部位のしびれ、疼痛、血液の逆流がないか確認する

このほか、注射の種類には「皮内注射」や「静脈内注射」などがあります。
それぞれの特徴や違いを整理しておくとよいでしょう。

回答は以上になります。 では、第100回の国家試験の問題を実際に解いてみましょう。

問題

第100回 看護師国家試験 午前問題19

注射部位の皮膚をつまみ上げて実施するのはどれか。
1.皮内注射
2.皮下注射
3.筋肉内注射
4.静脈内注射

1.× 注射針を皮膚に沿わせるよう、平行に刺入します。
2. 上記のとおり
3.× 消毒部位を避けて皮膚を進展させるように刺入します。
4.× 10~20℃の角度で、静脈内に薬剤を注入します。

正解は… 2

編集部より

採血の際、緊張するのは看護学生だけではありません。看護師になってからも、慣れない看護技術や検査介助などに関わる際には、緊張で胸がいっぱいになる場面が多々あります。こんな時にこそ大切なのは、看護技術の根拠や手順、注意点などの基本をしっかりと押さえておくこと。看護学校で得る知識は、プロの看護師になるためのベースとなる部分です。「国家試験に合格するため」だけではなく、「患者さんに安心できる看護を提供できるようになるため」と思うと、受験勉強がより有意義に感じられるのでは。