今回頂いた質問
花粉症の原因となる植物にはスギのほかどのようなものがありますか。
花粉症は、花粉を吸入性抗原(アレルゲン)とする季節性のI型アレルギーです。
花粉症になる人は、アレルゲンとなる花粉が体内に入ると、IgE(免疫グロブリンE)が作られます。IgEによって刺激された肥満細胞は、ヒスタミンなどの化学物質を放出し、それによって、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の充血、目のかゆみなどの花粉症の症状を引き起こします。
アレルゲンとなる花粉は、スギが代表的ですが、ヒノキ、イネ、ブタクサ、ヨモギなどさまざまな植物(約50種以上)があり、花粉の発生時期も異なります。
花粉症の原因となる代表的な植物と日本国内でもっとも花粉が飛散する時期
ハンノキ………3月~4月
スギ……………2月~4月
ヒノキ…………3月~4月
シラカンバ……5月(北海道・東北)
イネ……………4月~6月/8月~9月
ブタクサ………8月~9月
ヨモギ…………8月~9月
カナムグラ……9月~10月
花粉症といえば春のイメージがありますけれども、ブタクサやヨモギなどのキク科とカナムグラは夏の終わりから秋にかけて花粉が飛散しますし、スギやヒノキの花粉が秋に飛散することがあります。イネ科の植物(カモガヤやオオアワガエリなど)は種類が多いため、春から初秋まで長い期間にわたって花粉が飛散します。そのため、季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれる花粉症とはいえ、1年のうちほとんどを諸症状に悩ませられる人もいます。
また、スギ・ヒノキ以外の花粉症では、皮膚が荒れる、咳や喘息が起きるといった症状が出ることがあります。シラカンバ花粉症などでは、リンゴなどのバラ科の果物を食べると口の中が腫れる、かゆくなるといった口腔アレルギーの症状を併発することもあります。
スギ花粉がよく飛散する日
晴れて気温が高い日
空気が乾燥して風が強い日
上がりの翌日や気温の高い日が2~3日続いたあと
スギ花粉がよく飛散する時間帯
昼前後
日没後
日没後に花粉が多いというのは意外かもしれませんね。これは午前中に山中のスギ林から飛散した花粉が数時間後に都市部に達するためと、上空まで舞い上がった花粉が日没後に地上に落下してくるためと考えられています。出勤時よりも退勤時にしっかりガードする、昼時と夕方の外出を避けるといった対処が効果的ですね。
回答は以上になります。では、国家試験の問題を実際に解いてみましょう。
参考サイト:環境省 花粉情報サイト(花粉症環境保健マニュアル)
http://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/
問題
第101回 看護師国家試験 午後問題33
花粉症(pollinosis)について正しいのはどれか。
1. ブタクサによる症状は春に多い。
2. II型アレルギー性疾患である。
3. ヒスタミンが放出される。
4. 好塩基球が増加する。
2.× 花粉症は、花粉を吸入性抗原とするI型アレルギーである。II型アレルギー性疾患には、血液型不適応輸血、自己免疫性血液疾患、自己免疫性溶血性貧血などがある。
3.○ 肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が放出され、花粉症の症状を引き起こす。
4.× 増加するのは、白血球の一種である好酸球やIgEである。
答え…3
編集部より
環境省では、ことし(2015年)の東京のスギ花粉飛散量について、例年より多く、昨シーズンに比べると2倍くらいになると予測していました。実際、ことしのスギ花粉は猛威をふるい、編集部でも花粉症に苦しむスタッフがたくさん。4月も下旬となり、ようやくスギ花粉は落ち着いてきましたが、ヒノキのピークはまだこれから。夏にはブタクサが待っています。花粉症とハウスダストの両方に反応するスタッフもいて、空気清浄器はフル稼働です。