今回頂いた質問
今度の実習で、膀胱留置カテーテルが挿入された患者さんを受け持つことになりました。膀胱留置カテーテル使用時の注意点にはどのようなものがありますか?教えてください。
実習お疲れ様です。そしてご質問ありがとうございました。
膀胱留置カテーテルについてご説明させていただきます。
膀胱留置カテーテル(以下カテーテル)とは、尿道からカテーテルを挿入し、膀胱内に留置させるもので、細いゴムまたはシリコン製の管のことを指します。膀胱内にカテーテルを挿入したら、カテーテルが抜けないようにカテーテル先端のバルーンを膨らませて固定します。カテーテルの両端のうち、一方は患者の膀胱内に挿入し、もう一方はバックを取りつけることで、膀胱内に溜まった尿がカテーテルを通してバックに溜まるような仕組みになっています。膀胱内に尿が溜まることがないので、基本的に患者は尿意を感じることがありません。
膀胱留置カテーテルの使用対象
1.処置後や手術後の安静を保つ必要がある患者
2.正確な尿量を把握する必要がある患者
3.尿道や膀胱、前立腺の手術などにより、手術創が尿により汚染されることで感染を起こす危険性がある患者
4.尿失禁や尿閉などの泌尿器疾患により、頻回に導尿を行なう必要性がある患者など
膀胱留置カテーテル使用時の注意点
膀胱留置カテーテルを挿入する際には、異物を体内に挿入することになるので、挿入は必ず無菌操作で行ないます。カテーテル挿入後は、発熱・出血(血尿・尿道口の損傷の有無)などを十分観察しましょう。
また、カテーテル挿入による違和感がないかについても必ず確認しましょう。カテーテル挿入後に患者が尿意を感じるような場合は、カテーテルが閉塞または屈曲していないか確認し、必要に応じてカテーテルの交換を行ないましょう。
過去の国家試験でも、膀胱留置カテーテルについての出題があります。この機会に知識を整理しておくと良いと思います。
では、第96回の国家試験の問題を実際に解いてみましょう。
問題
第96回 看護師国家試験 午前問題29
膀胱留置カテーテルの固定用バルーンに入れるのはどれか。
1.水道水
2.エタノール
3.滅菌蒸留水
4.滅菌グリセリン
2.×
3.○
4.×
固定用バルーンはゴムまたはシリコンでできていることが多く、エタノール(アルコール)や滅菌グリセリンなどを使用すると、バルーンを損傷させたり、カテーテル抜去時に抜けなくなったりする危険性があります。また、膀胱留置カテーテルは無菌操作で扱う必要があり、水道水の使用は好ましくありません。そのため、選択肢3が正解となります。
正解は… 3
編集部より
膀胱留置カテーテルといえば、私が看護師として病院勤務していた頃も「あれ?バルーンって、滅菌蒸留水を使うんだっけ?生理食塩水を使うんだっけ?」と、よく迷ったものでした。その度、看護学校で使っていた教科書を開いて確認。〔生理食塩水はバルーン内に結晶を生成することがあり、カテーテル抜去時に抜けなくなることがあるので使用してはいけない〕の一文に、「あーそうだった!」と思い出すことも珍しくありませんでした。 どんな時も、迷った時には基本に返ることが大事ですね~。