今回頂いた質問
退院支援と退院調整について教えてください。
看護師は患者が入院した時点で、退院後の姿をイメージして、退院支援、退院調整に取り組みます。
そのため、退院支援が必要な患者や家族とは、入院後のできるだけ早い時期に、退院に向けた話し合いを持ちます。特に看護師は医療チームのなかでも、入院中の治療だけに目を向けるのではなく、治療がその患者の生活にどのような影響を及ぼすかを予想して予防的に関わることが重要です。
そして、「病気や病態を患者が理解し、受容していくための支援」と「自宅での医療・看護の継続を患者・家族と一緒に考え、自立をめざす支援」について支援方法を計画していきます。社会保障制度や社会資源、インフォーマルサービスなど在宅療養の環境を整えることもあるので、患者・家族の思いを受けとめ支援すること、情報をわかりやすく、適時提供する力が求められます。
一方、退院調整は、人的サービスの調整や物品調達といった在宅療養に関わる具体的な調整をさします。たとえば、服薬方法やス
ケジュール、褥瘡予防対策やリハビリテーションのメニューを、患者や家族が自宅でも実施できるよう、シンプルなやり方にアレンジすることなどが挙げられます。
在宅看護のニーズが高まるなかで、退院支援の部署に専任の看護師を配置して、地域のサービスと連携しながら患者と家族を支援していく病院も増えています。早期の退院支援からの退院調整という流れをしっかり覚えていきましょう。
回答は以上になります。
では、国家試験の問題を実際に解いてみましょう。
問題
第101回看護師国家試験 午前問題46
病院内の退院調整部署による退院支援について正しいのはどれか。
1. 65歳以上の高齢者を対象とする。
2. 医師が退院日を決めてから、支援を開始する。
3. 退院調整看護師は、訪問看護導入の要否を検討する。
4. 退院調整部署の設置は診療報酬の算定要件ではない。
2.× 退院日が決まってからではなく、入院時から取り組む。
3.○ 退院調整看護師は、患者と家族の要望を聞き、在宅で安心して療養できるよう訪問看護導入の要否を検討するなどのケアマネジメントを行う。
4.× 病院の退院調整部門に配置された看護師や社会福祉士により退院支援計画が作成され、計画に沿ったかたちで退院調整が行われた場合に、診療報酬が算定される。
正解…3
●「在宅看護論」の理解を深めるには
科目別強化トレーニング「在宅看護論」
編集部より
病棟看護師だけでなく、退院調整部署や訪問看護師、他職種との連携など、チームでの医療という視点がますます重要になっています。「地域連携クリティカルパス」といった関連用語もいっしょに復習しておきましょう。