今回頂いた質問
前回の国試113回国試で、労働安全衛生法に関する出題がありました。
保健師を受験する友人は「勉強した」と言っていましたが、私は看護師のみの受験です。
どんなポイントを理解しておけばいいでしょうか。教えてください。
ご質問ありがとうございます。
1.労働安全衛生法の目的
労働安全衛生法は、
(1)労働災害の防止
(2)職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、
(3)快適な職場環境の形成を促進すること
を目的とする法律です。
この目的のため、職場における健康診断の実施、衛生委員会の開催など定められています。
2.労働衛生管理について
労働衛生管理は、「労働衛生3管理」と呼ばれる作業管理、作業環境管理、健康管理に加えて、労働衛生教育、総括管理で「3管理5分野」または、「5管理」と言われます。
労働安全衛生法に規定されている労働者の健康診断の実施は、労働衛生3管理の健康管理にあたります。
3.その他押さえておきたいポイントについて
労働安全衛生法では、他に「長時間残業労働者の医師による面接指導」、「50人以上の事業場でのストレスチェック実施義務」なども定めています。
また、労働安全衛生法の目的である「職場環境の整備」に受動喫煙の防止も含まれ、令和2年(2020年)の健康増進法改正において、飲食店職場での屋内喫煙禁止の義務化に伴い、職場での受動喫煙防止は徹底されています。
以上が質問の回答です。
では、「労働安全衛生法」に関する国家試験の過去の問題を解いてみましょう。
問題
第113回看護師国家試験 午後問題3
労働安全衛生法に規定されているのはどれか。
1. 失業手当の給付
2. 年少者の労働条件
3. 過労死に関する調査研究
4. 労働者に対する健康診断
2.× 年少者の労働条件については、労働基準法で規定されている。
3.× 過労死に関する調査・研究に関しては、過労死等防止対策推進法で規定されている。
4.○ 労働者に対する健康診断に関しては、労働安全衛生法で規定されている。
正解…4
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編集部より
看護師国家試験では、働く女性の母性保護に関する法律が必修問題や母性看護学で必ず出題されます。産前産後休業や育児時間などを規定している労働基準法が頻出ですが、育児介護休業法や男女雇用機会均等法などについて出題されることもあります。これらの問題において、選択肢として労働安全衛生法が登場することが多いです。労働に関する法律について確認し、その上で労働安全衛生法を改めて確認するとよいでしょう。