今回頂いた質問

狭心症によりニトログリセリンの投与が必要になった患者さんを、実習で受け持つことになりました。服薬指導として、どのような声かけが必要ですか?

ご質問ありがとうございます。

患者さんへの服薬指導には、薬剤の使用法や注意事項についての正しい知識を、患者さんにわかりやすい言葉でお話しすることが大切です。

ここでは、ニトログリセリンの主な特徴について、抑えておきましょう。

ニトログリセリンの効果

ニトログリセリンには、血管拡張作用があります。
冠状動脈(たくさんの酸素を含んだ血液を心臓に送るための血管)、全身の動脈や静脈を広げることにより、血液の流れを良くします。また、全身の動脈を拡張することによって血圧を下げ、心臓への負担を軽くします。

ニトログリセリン服用時の注意

坐位または臥床の状態で服用することで、起立性低血圧(めまいやふらつき、失神など)を起こすことがあります(薬剤による血管拡張作用による)。
特に、初めてニトログリセリンを試す時は、必ず座って使用するようにしましょう。

また、ニトログリセリンを取りに行く動作そのものによって、狭心症の症状がさらに悪化する場合があります。
ニトログリセリンは、普段から身につけておいたり、枕元など手を伸ばせば届く場所に保管したりするなど、いつでも使用できるようにしておきましょう。

ニトログリセリンの服用方法

錠剤タイプの場合は、舌の下に含んでゆっくりと溶かします。
ニトログリセリンは、口の中の粘膜から吸収されることによって効果を発揮する薬剤です。
飲み込むと効果が表れません(ニトロール錠の場合は飲み込んでも効果がありますが、効果が発現するまでに15分以上もかかります)。
必ず口の中で溶かしながら服用します。

スプレータイプの場合は、(初回使用時のみ)2~3回空噴射して空気を抜いてから使用します。
噴射口を口から2cm程の位置に近づけ、息を止めながら口の中に噴射します。
噴射したらすぐに口を閉じます。30秒近く唾液を飲み込むのを我慢するようにすると、より薬剤の効果が出現しやすくなります。

回答は以上になります。

では、過去の国家試験の問題を実際に解いてみましょう。

問題

第99回 看護師国家試験 午後問題53

初めてニトログリセリンを処方された患者への指導で適切なのはどれか。
1. 「便秘しやすくなります」
2. 「納豆は食べないでください」
3. 「血圧が低下することがあります」
4. 「薬は食前に水で服用してください」

1. × 副作用として「便秘」が挙げられるのは、抗コリン剤やモルヒネなど。
2. × 納豆禁忌なのはワーファリン製剤使用時。
3. ○ 上記の通り。
4. × 薬は食事時間に関わらず、発作が起こった時に都度使用可能。服用時には水で飲み込まず、舌下に含んでゆっくり溶かしながら飲み込む。

正解は… 3

編集部より

ニトログリセリンに関する問題は、出題頻度がとても高い傾向にあります。(例:第98回「ニトログリセリンの作用はどれか。」第99回「初めてニトログリセリンを処方された患者への指導で適切なのはどれか。」第100回「ニトログリセリンの副作用はどれか。」)ニトログリセリンの作用や使用法については、必ず抑えておくようにしましょう。
また、症例問題として出題されても困らないよう、狭心症発作時のモニター波や症状の特徴についてもまとめておくと、様々な出題に応用できるでしょう。