今回頂いた質問

113回の国試で、シェーグレン症候群についての問題がありました。
出題基準に載っているのは確認しましたが、授業では詳しく習っていません。
教えてください!

ご質問ありがとうございます。
質問者さんが確認されたように、出題基準に掲載されている疾患名については、授業で習っていなくても、概要だけは押さえておいたほうが安心でしょう。
では、今回はシェーグレン症候群症候群について学んでいきましょう。

1.シェーグレン症候群症候群とは

シェーグレン症候群とは、自分の外分泌腺が障害される自己免疫性疾患で、50代女性に多くみられます。
外分泌腺とは、体表や粘膜に分泌する腺のことで、唾液腺、涙腺、気管支線、消化腺、汗腺などをさします。
また、自己免疫性疾患とは、本来攻撃するべきでない自分の細胞を、異物と誤認して白血球(特にリンパ球)が攻撃する疾患です。
なお、2024年(令和6年)現在、指定難病になっています。

ちなみに、外分泌腺だけ障害されるものと、ほかの自己免疫性疾患(慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症など)に合併するものが半々の割合で存在しています。
 

2.シェーグレン症候群症候群の症状

外分泌腺のうち障害される頻度が高いものに、唾液腺と涙腺が挙げられます。唾液線や涙腺が障害されると、唾液や涙液が減り、口腔内や結膜が乾燥して傷つきやすくなります。
また、唾液や涙液に本来含まれるIgA(抗体;異物攻撃をする武器)やリゾチーム(殺菌作用のある酵素)の分泌も減るため、細菌感染しやすくなります。

3.シェーグレン症候群の治療方法

治療は、乾燥対策として人工涙液や人工唾液を用います。
口腔内は、細菌が増殖しやすく、齲歯や歯周病を発症しやすいため、口腔ケアによって清潔を保つことが重要になります。
慢性関節リウマチなど、合併する疾患がある場合は、その疾患の治療を行うことで、症状改善につながるケースもみられています。

 

以上が質問の回答です。
では、「シェーグレン症候群」に関する国家試験の過去の問題を解いてみましょう。

問題

第113回看護師国家試験 午後問題84

Sjögren〈シェーグレン〉症候群でリンパ球が浸潤して障害が起こるのはどれか。2つ選べ。
1. 胸 腺
2. 涙 腺
3. 甲状腺
4. 唾液腺
5. 副甲状腺

上記説明の通り、シェーグレン症候群とは外分泌腺が障害される自己免疫疾患のことですから、選択肢の中から外分泌腺に該当するものを選択しましょう。
1.× 胸腺とは、リンパ球が成熟・分化する場所であり、外分泌腺ではない。
2.○ 涙腺は外分泌腺であり、シェーグレン症候群では高頻度で障害される。
3.× 甲状腺は、内分泌腺(細胞外液にホルモンを分泌する臓器)であり、外分泌腺ではない。
4.○ 唾液腺は外分泌腺であり、シェーグレン症候群では高頻度で障害される。
5.× 副甲状腺は、細胞外液中にパラソルモンというホルモンを分泌する内分泌腺である。
正解…2・4

●「成人看護学」について理解を深めるには、科目別強化トレーニング

編集部より

白血球による異物攻撃が激しすぎて、正常な細胞までがダメージを受けたり、自分の細胞を誤って白血球が攻撃したりする病態を「アレルギー」といいます。慢性関節リウマチなどの膠原病といわれる自己免疫性疾患は、Ⅲ型アレルギーに分類されます。白血球本来の適切な異物攻撃の仕方と、それが過剰になってしまうアレルギーとの違いを比較しながら学びを深めていくとよいでしょう。