今回頂いた質問

ショックはどうして起こるのですか? また、たくさんある種類を覚えるコツがあれば教えてください。

ご質問ありがとうございます。どうして…を理解するために、まずショックとはどのような状態を指すのか確認してみましょう。

ショックとは、何らかの原因により、全身の主要臓器で血液の循環がうまくいかなくなり、臓器の機能不全が起きた状態を言います。どうして起こるのかという機序は、コールドショックウォームショックに分けて、以下の図のように整理するとわかりやすいでしょう。

ショックの分類と機序

ショックの分類と機序の図

いずれのショックでも血圧の低下が起こりますが、起こる過程は異なるのがわかるでしょう。心原性ショックと低容量性ショックは、末梢血管の収縮により手や足が冷たくなることからコールドショックと呼ばれます。神経原性ショック、敗血症性ショック、アナフィラキシーショックは逆に末梢血管が拡張し、手や足は温かくなることからウォームショックと呼ばれます。

ショックが起きると、
1)身の置きどころをなくし、床上で反転を繰り返す
2)意識レベルが低い
3)顔色蒼白で、程度の差はあるがチアノーゼを呈する
4)頻脈
5)収縮期血圧60mmHg以下
6)呼吸促迫
7)尿量は著しく少ないか無尿
などの症状が現れます。どうして起こるのかという流れが頭にあると、症状も理解しやすくなりますね。

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回答は以上になります。
では、国家試験の問題を実際に解いてみましょう。

問題

第103回 看護師国家試験 午前問題11

心原性ショックで直ちに現れる徴候はどれか。

1. 血圧の上昇
2. 体温の上昇
3. 尿量の増加
4. 脈拍数の増加

1.× 心原性に限らず、ショックでは血圧が低下する。
2.× 心原性ショックは、おもに心筋梗塞や心筋炎により、急激に左室の心拍出量が減少すると起こる。体温は低下する。
3.× 心原性ショックでは、尿量は減少する。
4.○ 心原性ショックでは不整脈となり、脈拍数は増加する。

正解…4

編集部より

ショックは早い段階で適切に処置をしないと、多臓器不全から死を引き起こします。患者さんに遭遇した際は、この適切な処置のためにこそ、まずは慌てないことが重要です。
最近は救命処置を学ぶ講習なども行われていますが、実際に体験することは、臨床でとても役に立ちます。 消防署などでも一次救命処置の講習を行っています。皆さんもお住まいの地域の広報などで目にしたら、受講してみると良いでしょう。国試を解く際にも、イメージがわきやすくなるはずです。