今回頂いた質問
なぜ長期間寝たきりだと肺炎になりやすいのですか?
直球のご質問、ありがとうございます。こちらも直球でお答えしましょう!(笑)
寝たきりだと肺炎になりやすいのはズバリ「肺を使わないから」なんです。動かないことで、肺が弱ってしまうんですね。
からだが持つ本来の機能を長期にわたって使わずにいると、退行性変化が生じ、しだいにその機能が低下していきます。肺を含めた心肺機能の低下だけではなく、起立性低血圧、筋萎縮、関節拘縮、認知機能の低下など、さまざまな症状を引き起こすのです。とくに高齢者に起こりやすく、これらを総称として廃用症候群と呼びます。わかりやすく表にまとめてみましょう。
廃用症候群と予防
例えば呼吸器系だと、横隔膜の動きの制限や呼吸筋の筋力低下が生じ、咳嗽反射の低下で肺炎や無気肺が起こりやすくなります(下記の関連ページもご参照ください)。
不活発な日常生活や過度な安静が引き起こした廃用症候群は、疾病や障害がより重症化していく原因になったり、不活発な生活をさらに助長したりして、廃用症候群の悪循環が起こります。悪循環に陥らないためには、活動性を高めるケアを早期から積極的に行うことが重要です。上の表で、予防についても確認しておきましょう。
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Q 廃用症候群は高齢者特有の病気ですか?
Q 授業で「高齢者は誤嚥性肺炎を起こしやすい」と習いました。
誤嚥性肺炎はどのようにして起こるのですか? また、高齢者に多いのはなぜですか?
回答は以上になります。
では、国家試験の問題を実際に解いてみましょう。
問題
第104回 看護師国家試験 午前問題47
廃用症候群の説明で適切なのはどれか。
1. 二次的に低カルシウム血症を発症する。
2. 加齢とともに症状の進行は遅くなる。
3. 二次的に起立性低血圧を発症する。
4. 癌患者ではみられない。
2.× 高齢者では短期の安静でも容易に褥瘡が生じるなど、加齢とともに症状の進行は早くなる。
3.○ 長期間臥床が続くと、血圧や循環血流量の調節機能が低下し、起立性低血圧が生じる。
4.× 癌治療による活動性の低下が、筋力や体力の低下を引き起こし、さらに活動性が低下するなど、悪循環による廃用症候群を招きやすい。
正解…3
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編集部より
廃用症候群を引き起こす不活発な日常生活や過度な安静の状態は、病院だけではなく、自宅や介護施設などでもありえます。介護施設の規模によっては、看護師の配置は義務付けられていないため、長時間高齢者を預かっているにもかかわらず、忙しさや知識の不足から、予防のための活動的なケアが行われているとはいいがたい場合もあるようです。
看護師の専門的な知識と経験が求められている現場は、診療所・病院・居宅・介護施設と、多種多様。皆さんの看護師デビューを、たくさんの方々が心待ちにしています。