今回頂いた質問

111回の国試で、避妊法についての出題がありました。問題をみたら、私自身しっかりと理解できていないことがわかりました。詳しく教えていただけないでしょうか。

ご質問ありがとうございます。
避妊法については、「毎年必ず出題されます」というほどではないものの、しっかり理解していないと得点につながらない可能性が高い傾向にあります。
そこで今回は、実際に国試でよく出題されている避妊法を4つご紹介します。この機会にぜひ、避妊法についての理解を深め、国試対策に活かしましょう。

1.経口避妊薬<OC>

1)特徴
卵胞ホルモン<エストロゲン>と黄体ホルモン<プロゲステロン>という2種類のホルモンが配合された経口避妊薬です。毎日1錠ずつ服用することで、排卵を抑制します。
2)メリット
99%以上の避妊効果が得られます。
男性の協力がなくても、女性主体で使用できます。
・月経前症候群<PMS>や月経困難症が軽減されます。
3)デメリット
静脈血栓塞栓症のリスクが増加します。
・経口避妊薬の内服により乳汁分泌量が減少するため、授乳中の経産婦は使用できません。
毎日同じ時間に服用する必要があります。

2.子宮内避妊具<IUD>

1)特徴
・プラスチック製で柔軟性のあるT字型の小さな器具を子宮内に挿入し、受精卵が子宮に着床するのを防ぎます。
・経産婦は産後6週以降、子宮が妊娠前の大きさに戻れば使用できます(分娩後すぐに挿入すると、自然脱落が起こりやすいため)。
2)メリット
一度挿入すれば、挿入したままの状態で最低2年間は避妊効果を維持できます。
性交のたびに避妊する必要がありません。
・除去すれば、再び妊娠できる状態に戻すことができます。
3)デメリット
医師による挿入・除去が必要です。
・未産婦は子宮頸管が硬く狭いため、経産婦よりも挿入しにくいです。
・器具の挿入により、腹痛や不正出血をきたす場合があります。
・自然脱落のリスクがあります(約10%)。

3.コンドーム法

1)特徴
・男性の勃起したペニスに薄いゴム製の袋をかぶせることで、精子が膣内に進入するのを防ぎます。
・日本でもっとも普及している避妊法です。
2)メリット
正しく装着できている場合、約98%の避妊効果が得られます。(※)
性感染症も予防することができます。
・産後いつからでも使用可能です。
3)デメリット
破損や脱落、精液漏出などによる失敗する可能性があります(年間あたり10%以上)。
男性の協力が必要であり、女性主体での使用はできません。
※避妊効果を保証するものではありません。

4.基礎体温法

1)特徴
・基礎体温(起床時の安静な状態で測定した体温)の数値をグラフ化し、妊娠の可能性が高い時期を避けて性交を行う避妊法です。
・排卵のある女性では、月経が始まると「低温期」に、排卵が起こると「高温期」となり、グラフは2相性を示します。
・低温相から高温相に移る期間から、高温相になる2~3日の間が排卵日の目安であり、妊娠する可能性が高い期間になります。
2)メリット
・月経周期や排卵の有無など、女性の体内リズムを知るバロメーターとしても有用です。
3)デメリット
・安静な状態(起床直後)で毎日続けて測定する必要があります。
月経が規則正しく発来することを前提としているため、月経不順の女性には適しません。
体調などに左右されやすく、排卵日を確実に予測することは不可能です。単独での避妊効果は劣ります。

 
 
以上が質問の回答です。
では、「避妊法」に関する国家試験の過去の問題を解いてみましょう。

問題

第111回看護師国家試験 午前問題63

避妊法について適切なのはどれか。

1. 経口避妊薬は排卵を抑制する。
2. コンドーム法の避妊効果は99%以上である。
3. 基礎体温法は月経が不順な女性に有用である。
4. 子宮内避妊具<IUD>は性交のたびに挿入が必要である。

1.○ 正しい。
2.× コンドーム法の避妊効果は約98%である。ただし、破損や脱落、精液漏出などによる失敗率が年間10%以上ある。
3.× 基礎体温法は、月経が規則正しく発来することを前提としている。
4.× 一度挿入すれば、挿入したままの状態で最低2年間は避妊効果を維持できる。よって、器具の交換時期を迎えるまでは挿入したままでよい。
正解…1

●母性看護学について理解を深めるには、科目別強化トレーニング

編集部より

避妊法に関するこれまでの出題傾向としては、「経口避妊薬<OC>」や「経産婦(産褥期)の家族計画に向けた受胎調節指導」に関する設問が半数以上を占めています。出題形式や選択肢は年度により異なりますが、今回の記事でご紹介した4つの避妊法について、それぞれの特徴ならびにメリット・デメリットをしっかり押さえることができれば、国試対策としては十分でしょう。