今回頂いた質問

梅雨に入り、病室の室温や湿度がとても気になるようになってきました。どのくらいの幅で調節するのがよいのでしょうか。そのほか、病室環境で配慮すべき点はありますか。

病室の室温は、夏期25~27度、冬期20~22度がおおよその目安ですが、法的な規定があるわけではありません。外気温との差があまり大きくならないよう配慮しましょう。
湿度に関しては、建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)に、相対湿度の管理基準値は40~70%と定められているので、目安にするとよいでしょう。そのほか、望ましい病室環境は下記の表を参考にしてください。

望ましい病室環境

温度冬期20~22℃夏期25~27℃夜間15~18℃
湿度40~50%50~60%
照明昼間の病室の照度は100~200ルクス
夜間は40dB以下、昼間は50dB以下が望ましい
気流0.5m/秒程度。ただし扇風機など、直接風にあたりつづけると気化熱を奪われ疲労感が増し、また、上気道粘膜の乾燥から感染への抵抗力が低下するので注意する
法の規定〔床面積(医療法)〕1床につき、6.4m2以上(既設4.3m2以上)
〔廊下幅(医療法)〕感染予防と治療・看護上の能率から1.8m(両側居室2.1m)
〔窓の面積(建築基準法)〕床面積の1/7以上

医学書院「系統看護学講座 基礎看護学II」より

季節とは関係ありませんが、上表の通り、床面積や廊下の幅は医療法で明確に定められています。新生児の場合は、コットの間隔が新生児管理基準で少なくとも60㎝以上と規定されています。照度はJIS基準(照明基準総則および屋内作業場の照明基準)によって、100~200ルクスが適切とされ、療養施設における騒音については環境基本法により、昼間50dB以下、夜間40dB以下が望ましいとされています。医療法の規定ではありませんが、病室環境を整えるうえで、参考にしてください。

回答は以上になります。
では、国家試験の問題を実際に解いてみましょう。

問題

第102回 看護師国家試験 午前38

医療法施行規則で規定されているのはどれか。
1. 病室の室温
2. 病室の照度
3. べッドの高さ
4. 1床あたりの床面積

1. × 病室の室温に関する法的規定はない。
2. × 病室の照度に関する法的規定はないが、JIS基準(照明基準総則および屋内作業場の照明基準)では100~200ルクスが適切とされている。
3. × べッドの高さに関する法的規定はないが、患者の体格や身体機能を考慮して看護師が調整する。
4. ○ 正しい。医療法によって、1床につき6.4m2以上(既設4.3m2以上)と規定されている。

答え…4

●「基礎看護学」の理解を深めるには
科目別強化トレーニング「基礎看護学」

編集部より

室温や湿度の快不快は個人差も大きいので、個室以外では調整が難しいかもしれません。職場でも、体調や座席の位置によって「暑い!」「寒い!」といろんな声があるので、エアコンの調節は気を遣います。患者さんの間でトラブルにならないよう、気配りしてくださいね。