今回頂いた質問

同居している祖父が要支援2の認定を受けたのですが、普段の祖父の状態をみていると今回の認定が軽いように感じます。自治体窓口には「地域包括支援センターに相談してください」と言われました。地域包括支援センターの業務に状態認定区分の変更などは含まれているのでしょうか。

地域包括支援センター2005年の介護保険法改正により各市町村に設置が義務付けられました。
市町村または、市町村から委託を受けた法人が主体となって設置し、保健師・看護師、社会福祉士、主任介護支援専門員等が配置され、2職種のチームアプローチで地域住民の健康保持および生活安定のために必要な援助を行い、「地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設」とされています(介護保険法第115条46-1)。

第103回看護師国家試験の午後問題7(必修問題)に
「地域包括支援センターを設置できるのはどれか。
1. 国 2. 都道府県 3. 市町村 4. 健康保険組合」という問題が出ました。
当然、正解は3。このように、「どこが設置する」「どこ(もしくは誰)が許可する」「どこ(もしくは誰)に申請する」などは国試でよく問われるパターンですので、覚えておきましょうね。

さて、地域包括支援センターの業務内容についてですが、
(1)介護予防ケアマネジメント
(2)総合相談支援
(3)権利擁護
(4)包括的・継続的ケアマネジメント支援
 
となっており、これら業務について横断的な連携ネットワークを構築して、実施しています。

ご質問の支援・介護状態認定の変更についてですが、おっしゃるとおり地域包括支援センターの基本業務には含まれていません。
今回のように決定した支援・介護状態認定への不満や異議を訴える方法としては、

要介護(要支援)状態区分変更申請

「市町村」に対して行う。

不服申し立て

都道府県の「介護保険審査会」に対して行う。
があります(注:認定は市町村の「介護認定審査会」、不服申し立ては都道府県の「介護保険審査会」)。

ですが、これらの手続きを行う前に、要介護(要支援)状態区分の決定理由を確認し、申し立て内容の相談などをする必要がありますので、まず、地域包括支援センターに相談されるのは間違いではありませんね。

では、国家試験で出題された地域包括支援センターに関する問題を解いてみましょう。

問題

第99回 看護師国家試験 午後問題83

地域包括支援センターの機能はどれか。2つ選べ。

1.介護報酬の支給
2.訪問介護の実施
3.要介護認定審査
4.高齢者虐待の相談
5.介護予防ケアマネジメント

1.× 介護報酬の支給は保険者である市町村の役割である。
2.× 訪問介護を実施するのではなく、介護サービス事業者や保健福祉事業者間の連絡調整、主任ケアマネジャーによる訪問介護士などへの指導が行われる。
3.× 要介護認定審査は、医師、看護師、保健師、介護支援専門員などの学識経験者で構成された介護認定審査会が行う。
4.○ 地域包括支援センターの「総合相談支援」「権利擁護」の業務がこれにあたる。
5.○ 要支援高齢者に対する介護予防ケアマネジメントや、特定高齢者などに対する介護予防支援事業などを行う。

答え…4・5

編集部より

地域包括支援センターは、高齢者が住み慣れた地域で人生の最後まで自分らしい生活が続けられるよう、医療・介護・予防・生活支援を提供する役割を担っています。商店街や駅前のビルなど普段から通りかかるようなところに設置されることが多く、気軽に立ち寄って相談できる雰囲気があるので、高齢者の家族が最初に相談に訪れる場所として、より身近な存在であると言えます。