今回頂いた質問

糖尿病ケトアシドーシスとは何ですか?
また、どのような症状がみられるのですか?教えてください。

インスリンは、血中のブドウ糖の利用を促すホルモンです。そのため、体内のインスリンが欠乏すると、肝臓や筋肉はブドウ糖からのエネルギーを得ることができず、思うように機能することができませんので、身体はブドウ糖の代わりに脂肪を利用することで、エネルギーを補充するようになります。

この時、脂肪の代謝が進むことで、体内にはケトン体と呼ばれる物質が蓄積します。このケトン体が過剰に蓄積すると、体内は酸性(アシドーシス)に傾いていきます。これが、ケトアシドーシス(ケトン体によるアシドーシス)という状態です。

糖尿病性ケトアシドーシスとは、インスリンが不足することで脂肪代謝が促進し、高血糖の症状に加え、脱水・意識障害・昏睡やショックなどの症状を合併するものをいいます。一般的には、体内のインスリンが絶対的に不足するⅠ型糖尿病に多いといわれ、昏睡やショックが見られる場合は予後不良であることが多いため、早急な処置が必要です。

問題

第98回 看護師国家試験 午前問題27

糖尿病性ケトアシドーシスで血中濃度が低下するのはどれか。
1.尿素窒素
2.ケトン体
3.水素イオン
4.重炭酸イオン

1.× 糖尿病による腎機能低下により、尿素窒素は上昇する。
2.× 糖尿病性ケトアシドーシスはケトン体の上昇によるアシドーシスのこと。
3.× アシドーシスにより水素イオンが上昇し、血液は酸性に傾く。
4. 正しい。

正解は… 4

編集部より

糖尿病は、自覚症状を感じることがないため、軽視してしまう患者さんが多いのが現状です。しかしながら、低血糖や糖尿病ケトアシドーシスなどで昏睡やショック状態に至ったケースでは、死に直結する危険性が高いといわれています。そのため、看護師は患者さんやその家族に対して、起こり得る自覚症状や対処法(病院への連絡先も含め)について指導することが大切です。患者さんへの生活指導は、患者さんにとってはまさに命の授業。実習中に出会う患者さんへの生活指導も、そのような意識と責任を持って臨めるといいですね。