今回頂いた質問
乳児でも薬がおいしくないことが分かるのか、嫌がって飲んでくれないことがあります。どう工夫すればよいのでしょうか?
大人でも薬を飲むのは嫌なものですよね。乳児は、「苦いから嫌だ」とは言えないし、ましてや「これを飲めば元気になるんだよ」などと諭しても、がまんして飲んでくれるわけでもありません。乳児への与薬は大人が方法を工夫してあげなくてはなりませんね。
乳児への与薬
1.授乳直後の満腹時に与薬すると嫌がったり、嘔吐することがあるので、哺乳と哺乳の間や哺乳直前の空腹時に与薬をすすめる。
2.散剤(粉薬)が処方された場合は、白湯や糖水に溶解する。溶解は、全量が服薬できるよう散剤の量に合わせてなるべく少量の水分で行う。
3.さらに、散剤では少量の水分で練ってペースト状にしたものを頬の奥や上顎などの口腔内につけ、その後水分を飲ませて与薬をすすめるという場合もある。
4.ミルク嫌いや偏食の原因になるので、ミルクや離乳食には決して混ぜてはならない。
2~3か月の乳児
1.哺乳瓶の乳首内に水薬や溶解した散剤を入れ、吸綴反射を利用して投与する。
2.吸綴が上手くできなかったり、与薬を嫌がったりする場合は、スポイトなどを用いて舌の側面や頬粘膜にそって嚥下できる量をゆっくり注入する。この際、誤嚥を防止するために児を抱くか、上体を起こして与薬する。
離乳食を開始した乳児(5~6か月)
離乳食が始まっており、スプーンを嫌がらない乳児には、スプーンを使って少量ずつ舌の上にのせ、嚥下できたことを確認してから与えるとむせや口角からあふれることなく自然に嚥下できる。
では、国家試験で出題された乳児への与薬に関する問題を解いてみましょう。
問題
第98回 看護師国家試験 午後問題67
8か月児に散剤を経口与薬する方法で適切なのはどれか。
1.糖水で練る。
2.ミルクに溶かす。
3.離乳食に入れる。
4.はちみつに混ぜる。
2.×
3.×
4.×
離乳食に入れても処方された全量を飲みきるとは限らず、またミルク、はちみつも同様であるが、味の変化によってその食べ物が嫌いになったり偏食を助長したりするので適切ではない。また、はちみつは乳児ボツリヌス症を発症する危険があるため、1歳までは与えない。
答え…1
編集部より
小児に薬を飲ませる、また飲めるよう母親に指導するということも、薬物療法を進めていく上で医療者の重要な役割です。小児科で子どもにもお母さんにも人気のあるお医者さんや看護師さんは、うまく子どもに薬を飲ませるワザに長けていて、なおかつ、注射が痛くない方だそうです。与薬は小児医療にとって重要なポイントをしめているのですね。