今回は、「小児看護学」についてです。

小児看護学は、過去問題をバージョンアップさせて出題する傾向があります。過去問題の数をこなす学習以上に、選択肢をしっかり吟味することで得点率がアップする科目です。

では、どのように攻略していけばよいでしょうか?
 

小児看護学の攻略ポイントは?

小児看護学の攻略ポイントは、これだ!

1)成長発達に関する問題は必ず出題される!
2)過去問題を変更させて出題している!
3)小児関連の社会保障制度を押さえよう!

 

1)成長発達に関する問題は必ず出題される! について

乳児~思春期に至るまで、理論家(ハヴィガースト、ピアジェなど)に関する問題はだけではありません。身体の発達、言語や日常動作の獲得、心の成長など、一番成長著しい年代ですから、問題もさまざまなパターンで出題されます。過去問で傾向を押さえることは必要ですが、ピンポイントで出題されることが多いので、いわるる「ヤマ」を張るのが難しいです。過去問題で出題された事項は、周辺知識も合わせて学習をしていきましょう。

過去問を見てみましょう。

第112回AM59 
正常な幼児期の基本的生活習慣で、2歳0か月ころまでに習得するのはどれか。
1. 鼻をかむ。
2. スプーンを使う。
3. 夜間のおむつがとれる。
4.洋服のボタンをとめる。
答え:2

1.× 鼻をかむのは、4歳ごろからできるようになります。
2.○ デンバー発達判定法において、スプーンを使うのは2歳前に90%の通過率をもちます。
3.× 夜間のおむつが取れるのは、3歳過ぎが多くなります。
4.× 洋服のボタンをとめるのは3歳ごろになります。

過去5年においては、生活習慣の獲得、標準的な身長と体重の組合せ、思春期の特徴、1日に必要な水分量、思春期における親からの自立、学童期の肥満、呼吸法が胸式呼吸になる時期、正常な言語発達、離乳の時期というような問題が出題されています。とはいっても、単に正解を覚えるだけではすまないのが、小児看護学です。例えば、生活習慣の獲得でしたら、「コップを使って飲み物を飲めるようになるのが、1歳」が正答だったとすると、それ以外のものも全て覚えておくべきです。1歳、1歳半、2歳、2歳半、3歳、4歳・・・・・・・と、それぞれの年齢にできるようになることをほぼ網羅し、暗記しておいた方がいいでしょう。こういった問題は単純想起型といって、覚えていれば答えられるけれども、覚えていなければ、答えられない(あてずっぽうで選ぶしかない)というタイプの問題です。出題数は数問ではありますが、小児実習で一通り覚えたものを、過去問などをやった際に思い出しつつ、そのタイミングで小児の暗記項目を総復習しておく、などのやり方も効率的ですね。

2)過去問題を変更して出題をしている! について

冒頭で「過去問題バージョンアップさせて出題している」と説明しました。問題を見たとき、「見たことがあるけど、あれ、なんか違う…? それとも同じ?」と一瞬、戸惑います。小児看護学ではこのパターンが多いので、過去問題の学習は正解、不正解を確認していくだけではなく各選択肢の解説などをしっかりと読み込んでいきましょう。

111回では次のような問題が出題されました。

第111回PM60 
生後11か月の男児。ある日の朝、自宅でボタン型電池を飲み込んだ疑いがあり、その日の午前中に外来を受診した。胸部エックス線撮影によって、ボタン型電池が食道下部にあることが確認された。
行われる処置で適切なのはどれか。
1. 背部の叩打
2. 緩下薬の使用
3. 催吐薬の使用
4. 緊急摘出術の実施 
答え:4

ボタン電池を飲み込んだ場合、消化管に接触した電池から電流が流れると、電気分解により電池の外側(マイナス極側)にアルカリ性の液体が作られます。このアルカリ性の液体はタンパク質を溶かす性質をもっており、短時間で消化管の壁に損傷が起こることがあります。男児は朝に誤嚥をし、現在食道下部に存在していることが確認されています。よって、直ちに内視鏡での緊急摘出術が実施されます。

この問題のベースになっているのが以下の問題です。

第96回AM128 
1歳児。4~5時間前に10円硬貨を誤飲した疑いで来院した。胸部エックス線撮影で食道に停滞しているのが確認された。
適切な処置はどれか。
1. 下剤を与薬する。
2. 催吐薬を与薬する。
3. 内視鏡で除去する。
4. 自然排泄を待つ。
答え:3

正解選択肢が「内視鏡で除去する」になっています。誤飲から4~5時間経過していることから硬貨が胃内に降りる可能性が低いと考え、内視鏡での除去を選ぶとしているようです(一般的には、硬貨誤飲は症状がなければ、12時間程度様子を見てから内視鏡が選択される、と文献には記載されていました)。この過去問題で「硬貨誤飲→内視鏡除去」と単純に覚えてしまうと、111回の問題の答えを選択する場合に迷ってしまいます。この問題を通して小児の誤飲の多いものを押さえ、それらにどう対応するのかなど過去問題集を通して把握しておきましょう。

なお、2018年度の調査では、小児の誤飲事故として最も多いのは「タバコ」でした。タバコの誤飲はどの状態のものを誤飲したかによって、対応が異なります。
乾いた状態で少量(乳幼児で2cm未満)を食べた場合、あるいは大部分を吐いたことが確認できた場合:そのまま2~4時間経過観察する。異常を認めなければそのまま帰宅可能。
大量に食べた場合:嘔吐をきたして大部分を排出してしまうことが多いので、これも状態観察をしていきます。
水などに浸っていたタバコを食べた、その液を飲んだ場合:中毒症状を観察し、見られた場合は対症療法を行っていきます。催吐、胃洗浄は行わず、水や牛乳を治療として摂取するのは控えます。
副交感神経作用がみられる場合:アトロピンを使用するなどをして状態に合わせて対応をしていきます。

 

3)小児関連の社会保障制度を押さえよう! について

小児も、関連の社会保障制度を押さえておくことが点数につながる科目の1つです。なかでも、児童虐待防止法、乳幼児健康診査、小児慢性特定疾病などは頻出テーマですので、しっかりポイントを押さえておいていただきたいと思います。

過去問を見てみましょう。

第110回AM52 
養育医療が定められている法律はどれか。
1. 児童福祉法
2. 母子保健法
3. 発達障害者支援法
4. 児童虐待の防止等に関する法律
答え:2

養育医療は母子保健法に規定されます。
条文は以下の通りになっています。
(養育医療)
第二十条 市町村は、養育のため病院又は診療所に入院することを必要とする未熟児に対し、その養育に必要な医療(以下「養育医療」という。)の給付を行い、又はこれに代えて養育医療に要する費用を支給することができる。

こういった法律関連の問題は、やはり過去問でどこのポイントが狙われるのか傾向を押さえておくことが大切です。また、必修対策の時にもお伝えしましたが、必ず原文を確認しておくことを忘れずに。

 
今回のポイントふまえた過去問を、コチラにまとめています。ぜひご利用ください。
次回は、母性看護学について説明します!