先日、新聞でこんな記事を見かけました。


新型コロナウイルスの感染拡大にともなって、検診の中断や遅れが目立っている。日本国内で乳がん検診を受けた人は、4月は前年の14%、5月は前年の11%まで落ち込み、緊急事態宣言が解除された7月でも62%にとどまった。
----毎日新聞 2020年12月2日(水)


ということで、今回は乳癌について調べてみよう!

 
用意した参考資料は・・・
○毎日新聞 2019年8月31日(土)の記事
○医学書院刊『系統看護学講座 専門分野Ⅱ女性生殖器』(第13版)P.140~157
○国試過去問題集

 

乳癌の特徴

近年罹患率は上昇傾向。罹患リスクは12人に1人(9%)の割合。女性のがん罹患率第1位。
罹患率は30代から増加、40~50歳頃にピークとなり、60代後半からは減少。
リスク要因として、遺伝的要因、脂肪分の多い食事、飲酒、喫煙、暇年、経口避妊薬やホルモン製剤の服用などがある。
出産経験がない、高齢出産、早発月経・遅発月経などのケースも注意が必要
■発生部位として、乳房外側状1/4円が約50%といわれる。
主症状としては、しこり、乳頭からの異常分泌、乳頭の陥没・かゆみ・びらん、腋窩リンパ節の腫大などがある。
■触診後、マンモグラフィや超音波検査による画像診断を行う。乳癌を疑う場合には、針生検で病理学的な検査を行う
30歳を過ぎたら、月1回の自己診断と、年1回の医療機関検診で、予防・早期発見が可能である

 

治療のポイント

■局所療法(手術、放射線治療)と全身療法(化学療法、ホルモン療法、分子標的療法)を組み合せる。
■術式としては、乳房温存療法と乳房切除術がある。乳房切除術のほうが再発の可能性が少ないが、患者にとっては、乳房喪失による精神的ショックが大きい乳房温存療法においては、局所再発の不安が残る
術前に腋窩リンパ節への転移をみとめない場合は、センチネルリンパ節生検を行い、郭清する範囲を決定する
■ホルモン療法(抗エストロゲン薬、黄体ホルモン薬、GnRHアゴニストなど)も有効である。

 

看護のポイント

■乳房切除術を選択した場合は、十分な術前オリエンテーションを行い、乳房喪失への予期不安やボディイメージの変化などへの精神的援助を丁寧に行う
■術後においても、ボディイメージの変化を受け入れられるよう、下着の選択や服装など具体的なアドバイスを行う。
■腋窩リンパ節郭清後は、患側上肢に浮腫、感覚障害、運動障害などがおこる。就寝時は上肢を高くするなどの浮腫軽減に努める。
■化学療法においては抗がん剤の副作用として、吐気・嘔吐・倦怠感・口内炎・脱毛などが、放射線療法においては色素沈着などの副作用がみられる。

 

国試ではこう出る!

【第104回AM 30】乳癌について正しいのはどれか。
1. 乳房の内側に多い。 ×
2. 有痛性の腫瘤が特徴である。 ×
3. エストロゲン補充療法を行う。 ×
4. センチネルリンパ節生検により郭清する範囲を決める。 ○
【第107回PM 75】乳癌の検査で侵襲性が高いのはどれか。
1. 触診 ×
2. 細胞診 ○
3. MRI検査 ×
4. 超音波検査 ×
5. マンモグラフィ ×
【第108回AM 94~95】Aさん(37歳、女性、会社員)は、夫(38歳)と2人暮らし。身長155cm、体重57kg。Aさんは、入浴中に右胸のしこりに気づき、病院を受診した。乳房超音波検査で右乳房外側下部に、直径約3cmの腫瘤が認められた。医師から乳癌の可能性が高いと説明され、検査を受けたところ、右乳癌と診断された。
▲問題1 確定診断のため、Aさんに行われた検査はどれか。
1. MRI ×
2. 針生検 ○
3. PET-CT × 
4. マンモグラフィ ×
▲問題2 Aさんは、乳房温存療法を希望したが、腫瘤が大きいため手術前に化学療法を受けることになった。術前化学療法としてEC療法(エピルビシン、シクロホスファミド)を3週ごとに、4サイクル受ける予定である。  
Aさんに起こりやすい障害はどれか。
1. 嗅覚障害 ×
2. リンパ浮腫 ×
3. 卵巣機能不全 ○
4. 末梢神経障害 ×

コロナ禍における健診の受診控えは乳癌に限ったことではないと思うけど、早期発見で治る病気だからこそ、定期受診は大切だよね。周りの人にもしっかり注意喚起していきたいね。