先日、新聞でこんな記事を見かけました。

福祉避難所について、計90自治体のうち、約6割に当たる50自治体が、新型コロナウイルスの感染拡大で受け入れが困難になっていると感じている。
----毎日新聞 2020年10月15日(木)


ということで、今回は福祉避難所について調べてみよう!

 
用意した参考資料は・・・
○毎日新聞 2020年10月15日(木)の記事
○医学書院刊 『系統看護学講座 統合分野 災害看護学・国際看護学』
内閣府HP 防災担当「福祉避難所の確保・運営 ガイドライン」(PDFデータ)
○国試過去問題集

 

避難所の種類

避難所には、指定避難所、指定避難所以外の避難所、福祉避難所の3つがある。
■指定避難所は、災害対策基本法に定められている。市町村長が、その地域で災害が起きた場合を想定し、人口やその他状態を勘案して、適切な避難所の確保をはかるため、政令で定める基準に適合する公共施設、その他施設を指定避難所として指定する。
■指定避難所以外の避難所とは、市町村が指定した指定避難所以外の避難所をさす。指定避難所として指定されていない施設が発災後に避難所となった場合でも、指定避難所と同様の支援が受けられるように生活環境を確保する。この避難所における生活環境等の整備については、災害基本法に定められている。
 

福祉避難所とは

高齢者、障害者、妊産婦ら避難生活上の配慮が必要な「要配慮者」のための避難所。
■平成7(1995)年の阪神・淡路大震災で必要性が認識され、東日本大震災での教訓も踏まえ、国が平成28(2016)年に「福祉避難所」の確保・運営に関するガイドラインを作成した。
■市町村は、高齢者施設などのバリアフリー化された施設と協定を結んでおり、発災時にはその場所を福祉避難所として開設する。
避難者約10人対し1人の相談・支援スタッフを配置する。
■平成26(2014)年に全国で7,647カ所だった指定福祉避難所は、令和元(2019)年には8,683カ所に増えている。

 

福祉避難所の利用対象者

高齢者、障害者のほか、妊産婦、乳幼児、病弱者、内部障害者、難病患者など通常の避難所での生活に支障があり、避難所生活において何らかの特別な配慮を必要とする者、及びその家族。
■特別養護老人ホームや老人短期入所施設等の入所対象者は、当該施設で適切に対応されるべきであるため、原則として福祉避難所の対象者ではない。

 

福祉避難所になり得る場所

■福祉避難所の条件は次の通り。
 1)施設自体の安全性が確保されていること(耐震、土砂災害・水害特別警戒区域外)。
 2)近隣に危険物を取り扱う施設等がないこと。
 3)原則として、バリアフリー化されていること。
 4)要配慮者の避難スペースが確保されていること。
 など
■福祉避難所になり得る場所
 ・一般の避難所となっている施設(小・中学校、公民館等)
 ・老人福祉施設 (デイサービスセンター、小規模多機能施設、老人福祉センター等)
 ・障害者支援施設等の施設(公共・民間)
 ・児童福祉施設(保育所等)、保健センター、特別支援学校
 ・宿泊施設(公共・民間)
 など

国試ではこう出る!

【第106回 PM 15】
 Aさん(70歳、男性)は、妻(68歳)と2人暮らし。3年前に筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉と診断され、在宅で療養生活を続けていた。その後、Aさんは症状が悪化し、入院して気管切開下の人工呼吸療法、胃瘻による経管栄養法を受けることになった。妻は、退院後に必要なケアの技術指導、人工呼吸器や胃瘻の管理方法、緊急・災害時の対応について病棟看護師から指導を受けた。退院前カンファレンスにおいて、訪問看護のほかに必要な在宅サービスについて検討することになった。妻は慢性腎不全のため、週に3回の血液透析を受けており、1回に約6時間の外出が必要である。
 退院から2週後、妻から「昨日、私が透析を受けている病院で災害が発生した場合の診療について説明がありました。在宅での生活にも少し慣れてきたし、夫のことも気になるので、あらためて災害に備えておきたいのですが、何から始めればよいでしょうか」と訪問看護師に相談があった。  
訪問看護師が妻に指導する内容で最も優先度が高いのはどれか。
1. 予備の電源の選び方   ○
2. 福祉避難所への移動手段  ×
3. 災害用持ち出し物品の準備  ×
4. 足踏み式吸引器の使用方法  ×

実は「福祉避難所」は、正解肢としてはまだ国試に出題されていないんだ。でも、×選択肢としての出題はあったし、保健師国家試験には出題されているよ。また、コロナ禍で大型台風が来た場合などを想定して新聞記事になっていたりもするから、要注目キーワードだよ。