先日、新聞でこんなニュースを見かけました。


産後うつを発症するリスクは、貧血がない女性と比べて、貧血がある女性は6割も増えるとする調査結果を、国立成育医療研究センターのチームがまとめた。
----毎日新聞 2019年4月17日(水)


ということで、今回は産後うつについて調べてみよう!

 
用意した参考資料は・・・
○毎日新聞 2019年4月17日(日)の記事
○医学書院刊『系統看護学講座 専門分野Ⅱ 母性看護学』(第13版)P.487,505
○国試過去問題集

産後うつの特徴

産後2~4週後にみられる抑うつ症状を「産後うつ病」という。
症状は、抑うつ・意欲低下・興味喪失・睡眠障害など、一般的なうつ病と同様である。
■発症割合は、5~10%である。
■危険因子は、うつ病の既往歴、マタニティブルーズ、ソーシャルサポートの欠如、育児不安など。
■スクリーニング法として、エジンバラ産後うつ病調査票(EPDS)がある。9点以上の母親に、産後うつ病の発症リスクがあるとされている。
■母親が産後うつ病の場合、適切な養育ができない可能性があり、子供の成長や発達に影響を及ぼすことがある。
■重症化すると、自殺の危険性、非定型精神病への移行、虐待などのリスクがあるため、精神科医による精神療法、薬物療法が必要になる。

 

マタニティブルーズとの違いは?

マタニティブルーズの特徴を確認しよう。
産褥3~10日に見られる。
・涙もろい、疲労、不眠などの一過性の情緒不安定症状
・産後の体調の回復に合わせて、数日以内で症状が消失する。
・日本における発症率は30%前後。

 

産後うつ病の予防

■褥婦に対する理解と共感、夫や家族の積極的な協力が必要であり、できる限り協力を要請する。
不安軽減につながる産褥指導、母乳が依頼での育児支援、助産師による育児相談などが必要。
■健やか親子21(第2次)では、基盤課題Aで「切れ目のない妊産婦・乳幼児への保健体制」を設定。EPDが9点以上の母親へのフォロー体制がある市町村100%を目指している。

 

国試ではこう出る!

【第105回PM56】産後うつ病について正しいのはどれか。
1. 一過性に涙もろくなる。×
2. スクリーニング調査票がある。○
3. 日本における発症頻度は約40%である。×
4. 産後10日ころまでに発症することが多い。×
【第102回 PM 112】Aさん(38歳、初産婦)は、妊娠38週3日に2,900gの女児を正常分娩した。出産前は、Aさんは夫と2人で暮らしていた。引っ越して3か月であり、周囲に親しい知り合いや友人はまだいない。
産褥3日。子宮底の高さは臍下3横指にあり硬度良好であった。乳房は軽度緊満しており、乳汁分泌がみられる。体温37.0℃、脈拍76/分、血圧124/72mmHgであった。訪室時、Aさんは「体がなんとなくだるいです。理由もないのに涙が出てきます」と涙ぐんでいた。
Aさんの状態として考えられるのはどれか。 
1. 産褥熱 ×
2. 高血圧症 ×
3. 産後うつ病 ×
4. マタニティブルーズ ○

取り上げた新聞記事に書いてあるように、貧血を防ぐことが、産後うつ発症を抑えられる可能性があるというのは、産後うつの危険因子を持つ患者さんの早期発見・早期対応につながりそうだね!