先日、新聞でこんな記事を見かけました。

新型コロナウイルスの感染を蚊が媒介するのではないか、という不安の声がインターネット上で広まり、世界保健機関(WHO)は「科学的根拠はない」と発表した。
----毎日新聞 2020年5月12日(火)


ということで、今回は蚊が媒介する感染症と、新型コロナウイルスについて調べてみよう!

 
用意した参考資料は・・・
○毎日新聞 2020年5月12日(火)の記事
○医学書院刊『系統看護学講座 専門基礎分野 病理学』(第5版)P.76~92、『同 病態生理学』(第2版)P.14~18
○厚生労働省HP 「感染症情報 蚊媒介感染症」
○国試過去問題集

蚊媒介感染症とは?

■感染症の中で、蚊が媒介となる感染症は、デング熱、日本脳炎、黄熱、マラリアなどがある
■蚊が媒介する感染症は、病原体を持っている蚊(ヒトスジシマカ・下記写真参照)に刺されることによって感染する。
熱帯、亜熱帯の地域で多くみられるが、日本国内では平成26(2014)年にデング熱の感染者が確認され、一時公園などが封鎖されるなどの事態にまでなった。
日本脳炎以外の感染症は、輸入感染症である。つまり、国内で発生するのではなく、海外への渡航歴のある人や外国からの入国者がその感染症に罹患していて、帰国・入国後、国内で感染源となる、という流れ。

 

感染症の感染経路について

■感染症の感染経路は、大きく分けると垂直感染(母体から胎児に感染する)と水平感染(病原体が周囲に広がったり、病原体に接触したりすることで感染する)がある。
■水平感染は、接触感染、飛沫感染、空気感染、媒介物感染の4つに大きく分類できる。
接触感染は、感染者や感染源に直接接触することで感染するものであり、梅毒、淋病、破傷風など。
飛沫感染は、咳やくしゃみ、会話などで飛び散ったしぶき(飛沫)を吸い込むことにより感染するものであり、インフルエンザ、マイコプラズマ肺炎など。
空気感染は、空気中を漂う飛沫核を吸い込むことにより感染するものであり、結核、麻疹、水痘など。感染者は陰圧室に収容された上での治療となるケースが多い。
■媒介物感染は、汚染された水、食品、血液、昆虫などを介して感染するものであり、コレラ(水)、食中毒(食品)、ウイルス性肝炎(血液)、マラリア(蚊)など。

 

新型コロナウイルス感染症について

■新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染経路は、現時点では接触・飛沫感染によるものとされている。
■新型コロナウイルス感染症は、感染症分類において「指定感染症」に分類された
■「指定感染症」とは、「既に知られている感染性の疾病(一類感染症、二類感染症、三類感染症及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)であって、感染症法上の規定の全部又は一部を準用しなければ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるもの」をさす(感染症法第6条)。
本年令和2(2020)年2月1日に、「新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令」によって、外出自粛等の要請などの措置が可能となった
■感染を防止するためには、咳エチケットおよび手洗いの徹底や、健康状態のモニタリング、不要不急の外出を控え、外出時のマスク着用、手指衛生などの感染予防策を行う。

 

国試ではこう出る!

【第106回 AM76】
人獣共通感染症で蚊が媒介するのはどれか。
1. Q熱 ×
2. 黄熱 ○
3. 狂犬病 ×
4. オウム病 ×
5. 重症熱性血小板減少症候群〈SFTS〉×
【第106回 PM15】
飛沫感染するのはどれか。
1. 疥癬 ×
2. コレラ ×
3. A型肝炎 ×
4. インフルエンザ ○
【第107回 PM55】
入院中に陰圧室に隔離すべき感染症はどれか。
1. 麻疹 ○
2. 風疹 ×
3. 手足口病 ×
4. 流行性耳下腺炎 ×

新型コロナウイルスの感染者が徐々に減って、緊急事態宣言が解除された地域もあるけれど、まだまだ油断は禁物だよね。韓国では外出禁止令が解除された途端に、クラブでのパンデミックが起きたのも記憶に新しいし、本当に怖いなって思ったよ。第2波、第3波が来ることも想定しつつ、看護師を目指すひとりとして、感染拡大や媒介にならないための予防策を徹底していこう!