先日、新聞でこんな記事を見かけました。

東京医科歯科大学の研究チームが開発した妊婦のために開発したアプリ「そだつWA(わ)」が注目されている。産前産後の体調・メンタルの変化を知るコンテンツ、乳児の行動を知るコンテンツなどが入っていて、それらのアプリを使って保健師が妊婦を指導し、虐待防止などに役立てる狙い。
----毎日新聞 2020年6月22日(月)


ということで、今回は児童虐待について調べてみよう!

 
用意した参考資料は・・・
○毎日新聞 2020年6月22日(月)の記事
○医学書院刊『系統看護学講座 専門基礎分野 社会保障・社会福祉』(第20版)P.215~219
○厚生労働省HP 「児童虐待防止対策」
○国試過去問題集

児童虐待の件数は?

■平成30(2018)年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数は、159,838件(対前年度+19.5%)
■同年度の心中以外の虐待死亡事例は 50例(52人)
■心中以外の虐待死事例で死亡した子どもの年齢は、0歳が28人(53.8%)と最も多く、うち月齢0か月が14人(50.0%)(平成29年4月1日から平成30年3月31日対象)。
■心理的虐待が約55%、身体的ネグレクトが約25%、次いでネグレクトが約18%となっている。

 

通告とその件数について

■児童虐待を受けていると思われる児童を発見した者は、すみやかに福祉事務所もしくは児童相談所に通告しなければならない(児童虐待防止法 第6条)。
児童虐待を受けている事実を確認できていなくても、「虐待を受けていると思われる」という発見者の主観で、通告の義務が生じる。
■児童虐待のニュースなどが増え、国民にも幅広く児童虐待が知られるようになったことも、通報件数が毎年度増加する要因の1つと考えられている。
■児童相談所虐待防止ダイヤル「189(いち早く)」が浸透し、さらに令和元(2019)年12月から通話料が無料化になった。

 

虐待を受けている児童の保護について

■都道府県知事は、保護者が勧告に従わない場合において必要があると認めるときは、児童福祉法第三十三条第二項の規定により、児童相談所長をして児童虐待を受けた児童に一時保護を加えさせ又は適当な者に一時保護を加えることを委託させ、同法第二十七条第一項第三号 又は第二十八条第一項の規定による措置を採る等の必要な措置を講ずるものとする(児童虐待防止法 第11条4項)。
虐待を受けている(保護の必要のある)児童は、児童福祉法第33条の規定に基づき、児童相談所長または都道府県知事が必要と認める場合に、一時保護される

 

国試ではこう出る!

【第108回 AM81】
ネグレクトを受けている児の一時保護を決定するのはどれか。
1. 家庭裁判所長 ×
2. 児童相談所長 ○
3. 保健所長 ×
4. 警察署長 ×
5. 市町村長 ×
【101回 AM83】
児童虐待の防止等に関する法律で、親の虐待によって負傷した児童を発見した際の通告先として規定されているのはどれか。2つ選べ。
1. 警察署 ×
2. 福祉事務所 ○
3. 家庭裁判所 ×
4. 児童相談所 ○
5. 教育委員会 ×
【107回 AM53】
Aちゃん(生後4か月、女児)は、嘔吐とけいれんのため病院を受診した。受診時、Aちゃんは傾眠状態で、顔色不良と眼球上転がみられたため入院となった。受診時の体温は36.8℃であった。四肢は硬直し、数か所の内出血斑があった。大泉門は平坦であったが、次第に膨隆を認めるようになった。このときの頭部CTを別に示す。

Aちゃんの所見として考えられるのはどれか。
1. 急性脳症 ×
2. てんかん ×
3. 硬膜下血腫 ○
4. 細菌性髄膜炎 ×

医療従事者として、どんな時・どんな症状で虐待を疑うのかを知っておくことも大切だし、その根拠となる法律についても理解を深めておくことも大切。どちらも国試に出るよ!
赤ちゃんが0歳の時は、お母さんも新米さん。精神的に不安定な時期であり、赤ちゃんが何を訴えたいかもまだまだ分からない。アプリがそんなお母さんたちをサポートしてくれるといいね!