先日、新聞でこんな記事を見かけました。

過去にアスベスト(石綿)を扱う工場などがあった地域住民の健康状態を観察するため環境省が行っている検査で、検査希望者の3割からアスベストを吸い込んだ人にみられる所見が認められた。
----毎日新聞 2020年6月1日(月)


ということで、今回はアスベストについて調べてみよう!

 
用意した参考資料は・・・
○毎日新聞 2020年6月1日(月)の記事
○医学書院刊『系統看護学講座 専門分野Ⅱ 呼吸器』(第15版)P.174~175,218、『系統看護学講座 専門基礎分野 病理学』(第5版)P.213~214
○厚生労働省HP 「アスベスト(石綿)に関するQ&A」
○国試過去問題集

アスベスト(石綿)とは?

■天然の鉱石である繊維状けい酸塩鉱物をさす。
■その昔、ビルなどの建築工事において、保温断熱の目的で石綿を吹き付けていたが、昭和50(1975)年に原則禁止となった。
■その他、スレート材、ブレーキライニングやブレーキパッド、防音材、断熱材、保温材などで使用されていたが、現在では、原則として製造などが禁止されている。
石綿は、飛び散ること、そしてそれを吸い込むことが問題となるため、労働安全衛生法や大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律などで予防や飛散防止などが定められている。

▼アスベスト

 

アスベスト肺について

■アスベストを吸入してしまうことで起こる塵肺症がアスベスト肺である。
■末梢気道にアスベストの線維が沈着し、線維化が始まる。組織内に特徴的な含鉄小体が曝露歴を示す。
■病変は胸膜に発生しやすい。
■肺に吸入されたアスベストは、曝露後20~40年を経て、肺線維症(じん肺)や悪性中皮腫の原因となり、肺がんを起こす可能性があることが知られている。

 

アスベスト肺の罹患者について

アスベストを使用していた建築現場・造船所・自動車部品製造工場・排水工場などに勤務する人のみならず、近隣住民への曝露も問題となっている。
■近隣住民の中には、アスベストを使った工場があったことを知らない人もいて、自覚症状のない潜在罹患者もまだいると考えられている
■曝露から発症まで経過期間が長く、アスベストが禁止される以前に使用していた企業などを特定することが困難であることから、発症者の救済を目的として、石綿健康被害救済法(平成18〔2006〕年)が制定されている。

 

国試ではこう出る!

【第103回追試 PM 38】
健康問題と主な原因となる環境要因の組合せで正しいのはどれか。
1. 熱中症 ――― 低湿度  ×
2. 水俣病 ――― カドミウム ×
3. 中皮腫 ――― アスベスト ○
4. 白ろう病 ―― 騒音 ×
【第98回 AM 2】
アスベストが原因となる職業性疾病はどれか。
1. 皮膚炎 ×
2. 腰痛症 ×
3. 中皮腫 ○
4. 胃潰瘍 ×
【第99回 PM 73】
発がん因子でないのはどれか。
1. たばこ  ×
2. エックス線 ×
3. アスベスト ×
4. コールタール ×
5. A型肝炎ウイルス ○

私が小学生の頃、学校の天井はアスベストで、夏休みに撤去工事があったことを覚えているよ。
アスベストに限らず、健康被害の問題はほぼ毎年出るから、×選択肢もしっかり検証しておきたいね。