看護学生にとって「最大の学びの場」である臨地実習……
でも、そこは、「最大の悩みの場」でもあるかと思います。
実習指導のプロにお悩みを相談し、少しでも解決の糸口を見つけてほしいと思います。
今回はどんなお悩みでしょうか?
桜田亜己先生に相談してみましょう!
お悩み10:アセスメントが浅いと言われる
(Tさんのお悩み)
実習中の看護学生です。
先日、指導者の方から『看護計画に個別性が足りない』と言われてしまいました。
個別性のある看護計画って、どうやって立てればいいのでしょうか?
どの患者さんにも当てはまるマニュアル的な計画ではなく、その患者さんらしさを大切にした『その人のためだけ』の看護計画を組み立ててみましょう。
日々の実習で看護計画を立案した際、「個別性が足りない」と教員や指導者から指摘された経験はありませんか?そもそも「個別性」とは何か、なぜ個別性が大切なのか、どうやって計画に反映させればよいのか……こうした疑問を抱く方は少なくありません。
この記事では、そんな皆さんの疑問に答えながら、個別性のある看護計画を立てるための具体的なコツをご紹介します。この記事を読めば、個別性を反映した看護計画が立案できるようになり、患者さん一人ひとりに寄り添ったケアを提供できる看護師へと成長できるはずです。
個別性のある看護とは何か?
個別性のある看護とは、患者さん一人ひとりの身体的、心理的、社会的背景の違いを理解し、それぞれのニーズや希望を汲み取りながら「その人らしさ」を大切にする看護のことです。
「その人らしさを大切にする」とは具体的にどういうことでしょう?ここでは、<好きなジュースの違い>を例に考えてみましょう。
たとえば、あなたがクラスのみんなにジュースをごちそうするとします。でも、全員が同じジュースを飲みたいわけではありませんよね?
このように、みんなに同じジュースを配るのではなく、一人ひとりの好みや事情を聞いて、それに合った飲み物をごちそうすることが、「その人らしさ」=「個別性」を大切にするということです。
看護の現場に置き換えると……
看護の現場でも、患者さん一人ひとりには異なる背景やニーズがあります。それを理解し、適切に対応することが「個別性」を大切にする看護です。たとえば、清潔ケアを行う際には、患者さんの病気や生活背景、ADL(日常生活動作)に応じて、物品の選択、環境の整備、ケアの方法や手順を工夫することが求められます。
このように、看護における「個別性」とは、患者さん一人ひとりの病気や症状、生活背景、価値観、希望などを理解し、それぞれに合った看護援助を行うことです。「その人らしさ」を尊重した看護を提供することで、患者さんの安心感や満足度が高まり、より良いケアにつながります。すなわち、看護において「個別性」を大切にすることは、患者さん一人ひとりに寄り添い、その人にとって最適なケアを提供するための基本姿勢なのです。
個別性のある看護計画を立てるためのコツ
1.「SMARTの法則」で患者さんに合った目標を設定しよう!
SMARTの法則は、目標設定をより効果的に行うためのフレームワークです。「S(具体性)」「M(測定可能)」「A(達成可能)」「R(関連性)」「T(期限)」の5つの要素から成り立っています。
SMARTの法則にある5つの要素を取り入れることで、患者さん一人ひとりの「その人らしさ」を反映しながら、現実的で達成可能な目標を設定することができます。
2.計画立案は「4W1Hの法則」で患者さんらしさを反映させよう!
4W1Hの法則は、情報伝達(報告や引継ぎ)や看護計画の立案など、看護現場で幅広く活用できるフレームワークです。「Who(誰が)」「What(何を)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「How(どのように)」の5つの要素から構成されています。
4W1Hの法則にある5つの要素を取り入れることで、患者さん一人ひとりの「その人らしさ」を反映しつつ、具体的で実践しやすく、目標達成までの進捗を評価しやすい看護計画を立てることができます。
3.患者さんの変化に合わせて計画を柔軟に見直そう!
看護計画は、一度立てたら終わりではなく、患者さんの状態や状況に応じてこまめに見直す必要があります。目標の達成度や患者さんの反応をふまえ、その時点での最適な内容へとアップデートしていくことで、個別性のある質の高い看護計画を保つことができます。
いかがでしたか? この記事では、「個別性のある看護計画」を立てるためのポイントをご紹介しました。
患者さん一人ひとりの背景やニーズを理解し、「その人らしさ」を尊重することで、安心感や満足度を高めるケアが可能になります。さらに、SMARTの法則や4W1Hの法則を活用することで、看護計画を具体的かつ実践しやすいものにできます。これらの方法を実習や看護の現場でぜひ役立ててください。
読者の皆さんが楽しく充実した実習を過ごせることを願っています。看護学生としてのさらなる成長を目指して、一緒に頑張りましょうね!