看護学生にとって「最大の学びの場」である臨地実習……
でも、そこは、「最大の悩みの場」でもあるかと思います。
実習指導のプロにお悩みを相談し、少しでも解決の糸口を見つけてほしいと思います。
今回はどんなお悩みでしょうか?
桜田亜己先生に相談してみましょう!
お悩み8:関連図を書くのが苦手で時間がかかる
(Sさんのお悩み)
関連図を書くのが苦手で、毎回すごく時間がかかってしまいます。
もっとスムーズに関連図を書くコツがあれば教えてください!
関連図を「書く」というより、「関連図を通して思考の整理をする」と考えると、スムーズにまとめられるようになりますよ!
関連図を書くことに苦手意識のある学生さんは多いのではないでしょうか。実習の現場でも、「頭に思い浮かんだことを手あたり次第に書き出したものの、どこがどうつながっているのかわからない」、「あちこち線を引っ張っているうちに、頭の中がごちゃごちゃになってしまった」という声をよく耳にします。
関連図は、ただの作業ではなく、患者さんの病態やケアを深く理解するための重要なツールです。だからこそ、効率的かつ正確に作成できるようになりたいですよね。
そこで今回の記事では、関連図を使って思考を整理するための具体的なステップやコツを詳しくご紹介します。これを読めば、関連図の作成がぐっと楽になり、短時間で効率よくまとめられるようになるはずです!
*関連図には「病態関連図」(病態のプロセスや治療との関連性を把握するためのもの)と「全体関連図」(患者さんの全体像を多角的に理解するためのもの)があり、それぞれ含まれる要素が異なりますが、今回の記事では「病態関連図」の書き方に焦点を当てます。全体関連図を作成する際も、まずは病態関連図を通して患者さんの病態をしっかりと整理し、その上で生活背景や心理的状態、社会的要因などの要素を追加していくと、よりスムーズに仕上げることができるでしょう。自分で調べながらコツコツ書いてみたい派のあなたは【1】へ
少しでも楽にサクサク書いてみたい派のあなたは【2】へ
【1】自分で調べながら関連図を書くためのステップとコツ
STEP1.疾患に関連する「症状」をリストアップする
まずは、患者さんの疾患によって起こる一般的な症状をリストアップしましょう。例えば、細菌性肺炎の場合は「発熱」「咳嗽」「喀痰」などが挙げられます。今回は紙面の都合でこの3つの症状に絞って説明しますが、関連図を作成する際には、実際に確認できる症状だけでなく、疾患によって起こりうるすべての症状を含めることが重要です。これにより、病気の全体像をより正確に把握することができます。
STEP2.症状ごとに小さな関連図を作成する
それぞれの症状について、「病態」(身体の構造や機能にどのような変化が起こることで症状が発生するのか)と「原因」(病態を引き起こす原因や誘因として考えられるもの)を整理しながら、小さな関連図を作成します。
STEP3.作成した小さな関連図をつなぎ合わせる
症状ごとの小さな関連図ができあがったら、それらをすべてつなぎ合わせてみましょう。その際、小さな関連図同士で同じ項目や関連性のある項目はひとまとめに整理してみましょう。
これにより、症状ごとの関連性や全体のつながりがより明確に把握できるようになります。
STEP4.「治療」「検査」「看護ケア」を追加する
完成した関連図に、必要な治療法、検査、看護ケアの情報を追加します。これにより、実際の治療や看護ケアの根拠が明確になり、より実践的な関連図が完成します。
【2】少しでも楽にサクサク関連図を書くためのステップとコツ
STEP1.参考書などで既存の関連図を探す
看護学生向けの参考書や雑誌で、疾患に関する標準的な病態関連図を探してみましょう。見つけた関連図の内容や構成を確認し、どのように整理されているかを理解します。
*ただし、一般的な疾患のみが収録されていることが多いため、患者さんの具体的な事例に対応する関連図が見つからない場合もあります。その際は、【1】のステップに従って一つずつ作業を進めてください。
STEP2.患者さんの状態や状況に合わせてアレンジする
既存の関連図はあくまでも標準的な内容ですので、患者さんの具体的な状態や状況に合わせてカスタマイズしましょう。例えば、患者さんに現れていない症状は「潜在的な症状」として区別したり、実際に行っていない検査や治療は削除したりするなどの工夫を加えると、関連図がより実践的で患者さんの個別性に即したものになります。
既存の関連図は、関連図を「書く」上で非常に便利ですが、単にそれを仕上げることで満足せず、「疾患の全体像を理解するための補助的なツール」として有効活用し、根拠のある看護ケアの提供に役立てましょう。
いかがでしたか?
関連図は複雑に見えるかもしれませんが、疾患の理解を深めながら思考を整理することで、効率よく作成できるようになります。患者さんの担当学生として根拠のある看護ケアを提供するためにも、ぜひ積極的に取り組んでみてくださいね。
読者の皆さんが楽しく充実した実習を過ごせることを願っています。看護学生としてのさらなる成長を目指して、一緒に頑張りましょうね!