看護学生にとって「最大の学びの場」である臨地実習……
でも、そこは、「最大の悩みの場」でもあるかと思います。
実習指導のプロにお悩みを相談し、少しでも解決の糸口を見つけてほしいと思います。
今回はどんなお悩みでしょうか?
桜田亜己先生に相談してみましょう!
お悩み7:実習初日、優先的に収集すべき情報とは?
(Kさんのお悩み)
実習初日に情報収集をする際に、特に重視すべき項目はありますか?
患者さんの情報が多くて、どこから手をつければいいか毎回迷ってしまいます。
翌日からの看護実践に必要な情報を優先的に収集しましょう!
電子カルテには膨大な情報が詰まっているので、圧倒されてしまいますよね。患者さんの病歴や現在の状態、治療方針など、どれも重要に思えて、何を優先して調べればいいのか迷ってしまうお気持ち、とてもよくわかります。
しかし、実習では、学生が利用できる電子カルテの台数に限りがあり、複数の学生で共有しなければならない場合があります。そのため、優先順位の高い情報を短時間で効率よく収集する必要があります。
そこで今回は、「実習初日に優先的に収集すべき情報」についてお伝えします。実習のスタートダッシュにつながりますので、ぜひ参考になさってくださいね!
まずはここから!実習初日の情報収集チェックリスト
実習初日は、翌日からの看護実践に必要な情報を優先的に収集しつつ、患者さんのイメージをつかむことから始めてみましょう。「こんな患者さんかな?」といった具体的な人物像を捉えることで、より患者さんに合った行動計画を立てやすくなります。
しっかり準備派さんは・・・
目標:以下のチェック項目(Check1~5)の情報をすべて収集しよう!
ドキドキ心細い派さんは・・・
目標:以下のチェック項目のうち、Check1,2,5の情報を収集しよう!
Check1.基本情報
患者誤認を防ぐために、患者さんの氏名や年齢を正確に確認しましょう。
・年齢
・性別
Check2.患者さんの症状や治療の経過に関する情報
患者さんの症状や治療の経過を把握するための情報を収集しましょう。これは、翌日から実践する看護の目的や必要性を検討する上で重要なカギとなります。むやみに情報収集しようとすると時間が足りなくなりますので、患者さんの疾患に関する基礎知識(病態、症状、検査、治療など)をふまえて、優先的に収集すべき情報を洗い出しておくとよいでしょう。
・現病歴(主訴がいつ始まり、どのような経過をたどって今回の入院に至ったか)
・既往歴
・入院目的
・患者さんの自覚症状や訴え
・観察や測定によって得られた身体所見
・バイタルサインズの測定値
・検査結果(血液データ、画像所見など)
・現在行われている治療・処置
・現在投与されている薬剤の種類・量・回数・投与方法
Check3.疾患や治療が日常生活に及ぼしている影響
疾患や治療によっては、日常生活に支障をきたすことがあります。個別性のある援助を提供するためにも、「自立」「要介助」といった大まかな分類ではなく、それぞれの日常生活場面でどの程度の動作が可能かを具体的に情報収集しましょう。
・現在行われている活動援助(看護計画)やリハビリの内容
Check4.患者さんと目標を共有するための情報
患者さんと目標を共有することは、信頼関係を深めるだけでなく、一人ひとりに合わせた個別性のある看護を提供することにもつながります。まず、疾患や治療に対して患者さん自身がどのように受け止めているか、またどのような期待や希望を持っているかを情報収集しましょう。
・病気や治療に対して、患者さんがどのように受け止めているか(期待や希望)
Check5.翌日の患者さんのスケジュール
病棟の日課や患者さんの検査・治療等のスケジュールを確認し、翌日の行動計画に反映させましょう。
・患者さんのスケジュール: 検査、治療、処置などが予定されているか
百聞は一見にしかず!患者さんに会いに行こう!
電子カルテからの情報収集は重要ですが、患者さんの許可が得られる場合は、ぜひベッドサイドに訪問してください。そして、コミュニケーションを取りながら、目の前の患者さんを注意深く観察してみましょう。電子カルテの情報だけでは把握しきれない患者さんの全体像をより具体的に捉えられるようになります。
いかがでしたか?
実習初日に収集しきれなかった情報は、翌日の行動計画に「情報収集する項目」として書き出しておくと、情報収集のし忘れを防ぐことができます。また、翌日以降は患者さんとの実際の関わりの中で、より詳細な情報を収集しながら看護過程を進めていきましょう。
読者の皆さんが楽しく充実した実習を過ごせることを願っています。看護学生としてのさらなる成長を目指して、一緒に頑張りましょうね!