看護学生にとって「最大の学びの場」である臨地実習……
でも、そこは、「最大の悩みの場」でもあるかと思います。
実習指導のプロにお悩みを相談し、少しでも解決の糸口を見つけてほしいと思います。
今回はどんなお悩みでしょうか?
桜田亜己先生に相談してみましょう!
お悩み5:患者さんが決まってから事前学習を始めても大丈夫?
(Y子さんのお悩み)
実習先の病院(病棟)は決まりましたが、患者さんがまだ決まっていないので、どのように備えておくといいのか分かりません。患者さんが決まってから事前学習を始めても大丈夫でしょうか?
Y子さん、ご相談いただき、ありがとうございます!
患者さんが決まってから事前学習を始めるのでは遅いです(^^;
今からでもできることから始めて、早めに準備を進めていきましょう。
実習では、看護に必要な専門知識や技術がたくさん求められます。ただし、患者さんの割り当てが決まってから実習前日までの期間は、患者さんの疾患や治療などの事前学習に集中しなければならず、他の準備や復習に時間を割く余裕がありません。実習をスムーズに進めるためには、今からでもできることに早めに取り組むことが重要です。
そこで今回は、「受け持ち患者が決まる前からでも取り組める事前学習のポイント」を3つお伝えいたします!
ポイント1.看護技術の基本を身につけておく
・フィジカルアセスメントの基本手技
フィジカルアセスメントは、患者さんに必要な看護ケアを明確にし、実施した看護ケアを評価するために不可欠です。実習では、バイタルサインズ測定のほか、胸部(呼吸)の聴診、腹部の聴診・触診などを経験する機会が多いでしょう。患者さんの状況を正しくスムーズに観察・評価できるよう、目的や手順などを復習しておくとよいでしょう。
・日常生活援助技術
患者さんは、疾患や治療上の必要性、またそれらに関連した障害によって、身の周りのことができず、看護師による手助けが必要となることがよくあります。特に、全身清拭や寝衣交換(輸液中の寝衣交換など)、洗髪台での洗髪、足浴といった清潔援助や、車椅子での移乗介助・移送などは、実習で経験する機会が多いものです。患者さんの特性に合わせて、安全かつ快適な看護技術を提供できるよう、目的や必要物品、手順などを復習しておきましょう。
テキストや参考書を読んで理解したつもりでも、実際にやってみると意外と難しくてうまくいかないこともあります。準備不足によって患者さんに不利益を与えないよう、実習前に必ず学生同士で練習・確認をしておきましょう。
ポイント2.実習記録や看護過程の書き方を理解しておく
実習記録や看護過程の書き方について、正しく理解できていますか?
実習が始まってから記録作成や看護展開がスムーズに進められるよう、基本的な書き方や記載ルールなどを事前に確認しておくことが重要です。また、領域によっては実習のフォーマットが異なる場合もありますので、各領域で指定しているフォーマットの種類や記載事項についても事前に把握しておきましょう。
ポイント3.実習先の特性を把握しておく
実習先の病棟の特性を把握することで、疾患や治療に関する事前学習のヒントを得ることができます。
1.実習先の病院の公式ホームページにアクセスします。
2.「看護部」のページを開きます。
※トップページに「看護部」へのリンクが見当たらない場合は、「部門のご案内」や「医療関係者の方へ」などのページにアクセスしてみましょう。これらのページ内に「看護部」へのリンクが設置されていることが比較的多いです。
3.「病棟紹介」のページを開き、実習先の病棟の紹介文を読んでみましょう。
例えば、こんな文章が書かれていませんか?(下記はイメージ画像です)
この文章からは、「〇〇病棟では胃がんや食道がんの手術を受ける患者さんが多く、術後合併症の予防や退院後の食事指導に力を入れている」ということが読み取れますね。
胃がんや食道がんの患者さんが多く入院されているということは、実習でその患者さんを担当する可能性が高いと推測されます。ですので、胃がんや食道がんの疾患や治療(術式の特徴や違い)、術後看護(特に術後合併症や食事指導)などを中心に学習しておくとよいでしょう。
読者の皆さんが楽しく充実した実習を過ごせることを願っています。看護学生としてのさらなる成長を目指して、一緒に頑張りましょうね!