今回頂いた質問

膀胱留置カテーテルを挿入して24時間尿を測る際、カテーテル挿入時に流出した(膀胱にたまっていた)尿はいったん廃棄してから測定するのでしょうか?それとも挿入時に流出した尿も含めて測定するのでしょうか?(もしも、膀胱内にたまっていた尿も含めて測定するのだとしても、いつからたまっていた尿かわからないので、測定時間が曖昧になると思うのですが・・・)

基本的に、挿入時に流出した尿は破棄せず、挿入時に流出した尿も含めて24時間尿を測定するのが一般的です。

ただし、正確な尿量を測定する目的で挿入する場合には挿入時に流出した尿量を「残尿量」として測定したり、流出した尿を破棄して(尿量ゼロとして)測定したりする場合もあるかと思われます。

膀胱留置カテーテルの使用対象や目的によって対応が違ってくるかと思いますので担当医(および指導者さん)あるいは学校の先生に確認してみてはいかがでしょうか?

膀胱留置カテーテルの使用対象についてはこちら。

では、膀胱留置カテーテルについて問われた国家試験の過去問題を解いてみましょう。

問題

第100回 看護師国家試験 午後問題49

Aさん(86歳、男性)は自宅で療養しており、84歳の妻が介護している。Aさんは寝たきりで、尿失禁のためオムツを使用している。Aさんの排尿量が多く、何度も布団を汚して困ると妻から相談があった。Aさんの妻の介護負担を考慮した訪問看護師の対応で適切なのはどれか。

1.水分の摂取量を減らすように話す。
2.膀胱留置カテーテルの使用を提案する。
3.ポータブルトイレに定期的に座るよう勧める。
4.オムツに尿取りパッドを追加するように指導する。

1.×  高齢者の水分制限は脱水の原因となる。治療上必要な場合を除き、水分制限は行わない。
2.×  Aさんは自力での排尿があるので、膀胱留置カテーテルの使用は不要である。
3.×  Aさんは寝たきりで、介護者である妻も高齢であることから、定期的にポータブルトイレに座らせることは困難である。
4.○  排尿量が多いので、オムツに尿取りパッドを追加する。尿取りパッドの正しい使用方法もあわせて指導するのが望ましい。

答え…4

編集部より

本来、膀胱留置カテーテルは「持続的かつ安全に尿を誘導・排出させること」を目的として使用されるものですが、実際にはオムツ交換の簡便化・尿失禁対応・介護者不足など、社会的な理由で挿入されているケースも少なくありません。しかし、膀胱留置カテーテルは尿路にとって異物であり、長期留置によって尿路感染症・尿管結石・膀胱委縮などの合併症リスクが高まるため、なるべく使用を避けるのが望ましいです。排尿トラブルは、本人にとっても介護者にとって心身ともに苦痛の大きいものですが、用具の活用や環境整備などの工夫を行い、自力での排尿がスムーズに行えるよう援助しましょう。