今回頂いた質問
実習で、パーキンソン病の患者を受け持っています。すくみ足を軽減させるために、看護学生としてどのように関わったらよいか教えてください。
ご質問ありがとうございます。
すくみ足は、パーキンソン病でみられる代表的な症状のひとつです。姿勢反射の障害により、足が地面に貼りついたように動かなくなることをさします。足は動かず身体が前のめりになるため、転倒しやすくなります。
すくみ足の歩行訓練には、聴覚や視覚への刺激が有効といわれています。
たとえば、自分で「1・2・1・2」と数えたり、歌を歌ったりしながら、歩行のリズムをつかむことによって、足の運びがスムーズに行えるようになります。メトロノームを利用してリズムを刻むのもよいでしょう。また、足元の目印などをまたぐようにするのも有効でしょう。
「歩かなければ」「足を踏み出さなければ」といったプレッシャーは、すくみ足の悪化につながります。心の緊張をほぐし、患者自身のペースで歩行練習を行えるような環境づくりを心がけましょう。
では、国家試験の過去問を実際に解いてみましょう。
問題
第100回 看護師国家試験 午後問題65
パーキンソン病患者がすくみ足を軽減させる練習をするときに、看護師が行う助言で適切なのはどれか。
1. 歩行器を使うよう勧める。
2. メトロノームを使うよう勧める。
3. 補助者と手をつないで歩くよう勧める。
4. 歩行時はかかとから足をつくよう勧める。
1.× 転倒予防にはなるが、すくみ足の改善にはならない。
2.○ 正しい。聴覚刺激によってリズムをつかむと、足の運びがスムーズになる。
3.× 補助者は患者の正面に向かって立ち、患者の肘を持つ。患者が足を踏み出したら、患者の歩行に合わせて後ろ向きに歩く。
4.× 転倒予防としては有効だが、すくみ足の改善にはメトロノームを勧める方が効果的である。
2.○ 正しい。聴覚刺激によってリズムをつかむと、足の運びがスムーズになる。
3.× 補助者は患者の正面に向かって立ち、患者の肘を持つ。患者が足を踏み出したら、患者の歩行に合わせて後ろ向きに歩く。
4.× 転倒予防としては有効だが、すくみ足の改善にはメトロノームを勧める方が効果的である。
答え…2
編集部より
パーキンソン病では、ヤールの重症度分類ステージのⅢ以降の歩行障害の程度によって、歩行訓練の指導方法が違ってきます。国試では、患者の重症度と歩行状態、それにともなう歩行訓練の仕方や転倒防止方法についても細かくきいてきます。重症度にあわせた症状を覚えれば、歩行指導や転倒予防の方法もおのずと理解できます。国家試験頻出問題になってきていますので、パーキンソン病は要チェックです!