今回頂いた質問

小児看護実習で、3歳の患児を受け持っています。注射に対する恐怖心があり、処置室の前で泣きわめく姿がみられています。患児が安心して処置を受けられるよう援助したいのですが、どのような点に注意したらよいでしょうか。

ご質問ありがとうございます。

小児看護では、病気や治療について患児自身が納得できるような方法で説明し、子どもおよび両親の対処能力を引き出す環境づくりを行うことが大切です。このような形で、不安・緊張・恐怖心などを最小限に抑えるケアを「プレパレーション(心の準備)」といいます。

プレパーレーションで大切なポイントは下記4つです。
1.患児に正しい情報を伝えること
2.子どもの感情表出を助けること
3.患児の両親もプレパーレーションの対象とすること
4.スタッフとの信頼関係を築くこと

上記をふまえて、注射の対する恐怖心を最小限に抑えるケアとして、どのような工夫ができるか考えてみましょう。たとえば、人形や注射器(シリンジ)を用いて「ごっこ遊び」をしてみてはいかがでしょうか。看護師役の患児に「お人形さんに注射をしてみようか」と声をかけ、処置の流れを体感させるのもよいですね。その際、「針を刺す時にはチクッとしますよ」など、患児に正しい情報が伝わるように配慮することが大切です。

プレパレーションに利用する道具は、ぬいぐるみや絵本など身近にあるもので構いませんが、施設によってはプレパレーション専用の人形や医療器具が用意されている場合もあります。患児の好みや状況に合わせて上手に利用しましょう。

では、国家試験の過去問を実際に解いてみましょう。

問題

第100回 看護師国家試験 午後問題71

子どもへの医療処置に対するプレパレーションで正しいのはどれか。

1. 子どもの病気の治癒を促進する。
2. 泣いてはいけないと子どもに伝える。
3. 両親はプレパレーションに参加しない。
4. 経験するであろう感覚についての情報を子どもに伝える。

1.× プレパレーションの目的は「患児や両親の心理的準備」であり、病気そのものの回復過程には関与しない。
2.× プレパレーションでは、患児の感情表出を助けることがポイントである。
3.× 患児だけでなく、両親もプレパレーションの対象である。
4.○ 正しい。痛みや冷たさなど、体感するであろう感覚の情報を正しく伝えることが望ましい。

答え…4

編集部より

先日、風邪をひいた4歳のA君を連れて、近所の小児科を受診した友人。痰がらみの咳が1ヶ月近く続いていることを話し、吸入の処置をしてもらうことになったそうです。処置室に入るや否や、A君はすっかり腰が引けてしまい、目にはうっすら涙が。そんな様子を見かねた看護師。A君が大好きだというアンパンマンの人形を持ち、「A君くん、こんにちは!ぼくアンパンマン・・・ゲホゲホ。あれれ、ぼくも咳がコンコンするよ~。A君、ボクもモクモク(吸入)のお薬がほしいよ~」と。A君は大喜びで「ボクのをあげるよ~」といい、自分の吸入器を人形の口にも加えさせながら、最後まで楽しく処置を受けることができたそうです。子どもの心をつかもうと頑張る看護師の姿に友人はめっちゃ感動したそうですよ。