今回頂いた質問

薬と食べ物には禁止されている組合せがあると聞きました。具体的な例を教えてください。

ご質問のとおり、薬と食べ物には禁止されている組合せがあります。
例を挙げると、納豆はワルファリンと拮抗するビタミンKを多く含むため、ワルファリン使用時に摂取が禁止されています。また、乳製品はテトラサイクリン系やニューキノロン系の抗生物質と一緒に摂取すると吸収が阻害されてしまいます。

薬物と食品(嗜好品)との相互作用の例

薬物と食品(嗜好品)との相互作用の例

薬の作用の増強や減弱、有害作用の増強、効果時間の変化などが起こってしまうことを薬物相互作用といいます。また、薬の吸収、分布、代謝、排泄の過程で生じる相互作用を薬物動態学的相互作用と呼んでいます。

受容体などの作用部位における相互作用は、薬力学的相互作用といい、
1)協力作用(併用により作用が増強)
 ・相加作用(作用が各薬物の和になる)
 ・相乗作用(和より大きくなる)
2)拮抗作用(併用により作用が減弱または消失)
の2種類に分かれます。

薬物相互作用の例

薬物相互作用の例

回答は以上になります。
では、国家試験の問題を実際に解いてみましょう。

問題

第103回看護師国家試験 午後問題80

ワルファリンの服用時に避けた方がよい食品はどれか。

1. 緑茶
2. 納豆
3. チーズ
4. バナナ
5. グレープフルーツ

1.×
2.○
3.×
4.×
5.×

経口抗凝固薬であるワルファリンは、血栓塞栓症の治療および予防に使われる。納豆に含まれるビタミンKは、ワルファリンの血液凝固を阻止する効果を弱めてしまうため避けたほうがよい。

正解…2

「疾病の成り立ちと回復の促進」の理解を深めるには
科目別強化トレーニング「疾病の成り立ちと回復の促進」

編集部より

「天麩羅とスイカ」(胃液が薄まり消化不良を起こす)、「蟹と柿」(体を冷やす)など、注意が必要な食べ合わせを聞いたことはありませんか。これらは合食禁(がっしょくきん)と呼ばれ、食に関する伝承のひとつです。昔の人たちは、食品と食品の相互作用を自然と学んでいたんですね。