今回頂いた質問

実習で、バセドウ病の薬の副作用で入院している患者さんを担当することになりました。どんな薬を使って、その副作用にはどんなものがあるのですか?

ご質問ありがとうございます。
まず、バセドウ病について説明します。

バセドウ病とは?

●症状:甲状腺表面には、TSH(甲状腺刺激ホルモン)の受容体(甲状腺刺激ホルモン受容体)が存在します。バセドウ病ではこの受容体に対する自己抗体(TSHレセプター抗体)が生じ、それがTHSの代わりにTSHレセプターを過剰に刺激し、甲状腺ホルモンが過剰産出されます。
●主症状:頻脈、びまん性甲状腺腫、眼球突出があり、これらを「メルセブルクの3徴」といいます。
●罹患者:20~40歳代の女性が多く、男性罹患者の約4~7倍とされています。
●診断:採血による甲状腺機能検査を行います。甲状腺刺激ホルモン(遊離T3)と甲状腺ホルモン(遊離T4)の値、さらに抗TSH受容体抗体を測定します。
 

バセドウ病の治療とは?

治療は、抗甲状腺薬の投与が中心です。
抗甲状腺薬にはチアマゾール(メルカゾール®)とPTU(チウラジール®、プロパジール®)の2種類があります。チアマゾールのほうが、副作用や効果面から使用しやすく、汎用されています。
重症度によって、通常1日3~6錠から開始し、甲状腺ホルモンの数値が低下していくにしたがって徐々に減量、甲状腺機能が正常化して安定するようになったところで維持量として、数年間内服を継続します。

抗甲状腺薬の主な副作用

(1)蕁麻疹(頻度1~5%)
かゆみを伴うのが特徴です。服用開始後3週間以内、多くは2週間前後に起こります。
(2)無顆粒球症(頻度0.1~0.5%)
最も注意すべき副作用です。起こる場合は、ほとんどが服用開始後2週間~3ヵ月以内で、長期間服用している場合はまず起こりません。まれですが、最初に起こらないで、再発してもう一度治療を始めたときに起こる場合もあります。
無顆粒球症は、好中球の減少により、重篤な感染症を引きおこす可能性があります。対応が遅れると致命的になることもあり、外来での定期的な血算測定で前兆を見逃さないこと、内服開始時に「咽頭痛や発熱があったら、すぐに受診」としっかりと指導することが大切です。これらの副作用が出現した場合は、抗甲状腺薬は一時中断し、抗菌薬を投与します。
(3)肝障害(頻度0.1~0.5%)
服用開始後2週間~3ヶ月目ぐらいまでに起こることが多いです。血液検査でALT、ASTと異常値になるパターンと、検査値異常に黄疸の症状も伴うパターンがあります。
 

以上が質問の回答です。
では、「抗甲状腺薬の副作用」に関する国家試験の過去の問題を解いてみましょう。

問題

第108回看護師国家試験 午後問題78

抗甲状腺薬の副作用(有害事象)で正しいのはどれか。

1. 頻脈
2. 肝障害
3. 低血糖
4. 不整脈
5. 眼球突出

1.×
2.○
3.×
4.×
5.×
抗甲状腺薬は、バセドウ病の治療に使用され、具体的な薬品としては、チアマゾールやプロピルチオウラシルなどがある。甲状腺薬の重大な副作用として、無顆粒球症、肝機能障害がある。1の頻脈、5の眼球突出は、バセドウ病の主症状である。
正解…2

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編集部より

抗甲状腺薬は甲状腺がホルモンを作るのを抑える薬です。甲状腺の中には2か月分以上のホルモンの蓄えがあるので、薬の効果が現れるのは飲み始めてから2~4週間後になります。その間、症状の好転はないにもかかわらず、痒みの副作用だけ感じるということもあります。そんな時に寄り添って見守って上げることも大事な役割です。